AERA 2022年3月14日号より
AERA 2022年3月14日号より


 たとえば18年。ロシアの元スパイ、セルゲイ・スクリパリ氏と娘のユリアさんがイギリスで殺害されかかった際に使われたのは、旧ソ連時代に開発された神経剤ノビチョクだった。ノビチョクは、20年にロシア国内の反政府活動家アレクセイ・ナワリヌイ氏に対しても使われている。

 旧ソ連製の神経剤の存在が暴露されても、抜け抜けと使い続けるという無神経さ。いや傍若無人の残酷さ。どうせ国際社会は何もできないだろうと嘲笑う人物の顔が浮かぶ。

 世界は新たな時代を迎えた。世界史の大きな転換点を迎えたいま、私たちは何を考えればいいのか。(寄稿)

AERA 2022年3月14日号