建具を作るプロジェクトに取り組むため、打ち合わせをするヨークのメンズ・シェッドのメンバーたち/2021年12月14日、イギリス・ヨーク(photo gettyimages)
建具を作るプロジェクトに取り組むため、打ち合わせをするヨークのメンズ・シェッドのメンバーたち/2021年12月14日、イギリス・ヨーク(photo gettyimages)

 2018年、世界初の孤独担当大臣を置いた英国。どのような取り組みが行われているのだろうか。英国の孤独対策に詳しく『孤独は社会問題』(光文社新書)を出版したジャーナリストの多賀幹子さんがレポートする。AERA 2022年3月7日号から。

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 英国の孤独対策は、慈善団体などが多くを担う。「メンズ・シェッド(男たちの小屋)」は、定年後の男性の居場所づくりだ。定年を迎えた男性はとかく孤独に陥りがち。彼らを引っ張り出して仲間とDIYに取り組んでもらう。こしらえたベンチを公園に寄付したり、出来上がった遊具を校庭に設置したりする。これまであまりなじみがなかったコミュニティーの人たちからお礼を言われ、子どもたちから感謝の手紙が届く。男性たちからは思わず笑顔がこぼれ、さっそく次の製作に取り掛かるという。

 英国最大手のコーヒーチェーン、コスタ・コーヒーが乳児を持つ母親から「大人と話したい」と頼まれて始めたのが、おしゃべりテーブルだ。店内の一つのテーブルをおしゃべり専用と決め、そこでは客同士が自由に話す。当初は全国に25店用意したが、反応が良いと300店に広げた。話題は、天気についてがトップ。「雨がよく降りますね」「まったくです」から会話が弾む。

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