【サワラーズ】世界初、釣り針に虫餌を通すための専用グッズ。50回以上試作を重ねた渾身の発明品は、「ミミズやイソメに触りたくない」「何度も失敗するうちに餌が弱ってしまう」といったちょっとした悩みを解決してくれる。開発者の門脇さんが所属する発明学会はCAMPFIREと提携しており、昨年は11件のプロジェクトが立ち上がった。(3acompany)(photo 編集部・高橋有紀)
【サワラーズ】世界初、釣り針に虫餌を通すための専用グッズ。50回以上試作を重ねた渾身の発明品は、「ミミズやイソメに触りたくない」「何度も失敗するうちに餌が弱ってしまう」といったちょっとした悩みを解決してくれる。開発者の門脇さんが所属する発明学会はCAMPFIREと提携しており、昨年は11件のプロジェクトが立ち上がった。(3acompany)(photo 編集部・高橋有紀)

 こんなものがあったらきっと便利だろうな。そんな思いつきをクラウドファンディングで商品化に結びつける。かゆいところに手が届くヒット商品が次々と生まれている。AERA2022年2月21日号の記事を紹介する。

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 一人の小さな悩みから生まれた発明が、多くの人の困りごとを解決する。こうしたアイデア品がクラウドファンディングから数多く生まれている。

 例えば釣り人の悩みを解決するグッズ。生きた虫に針を通すのが苦手という人も少なくない。

「サワラーズ」は虫に触らずに針につけられる画期的な道具だ。トングのような形状で虫餌を挟み、付属する二つのレバーを押し出すことで、虫にほとんど触らずに針につけることができる。

 開発したのは門脇晃さん。きっかけは友人たちと釣りに行った時のこと。友人が「娘のために餌をつけてばかりで自分の釣りができない」とボヤいていたのが記憶に残った。もともと工作や機械いじりが好きで、老後の楽しみも兼ねて発明学会に所属し、ものづくりをたしなんできた門脇さん。3Dプリンターを使い1年かけて50個以上の試作を繰り返し納得できる製品ができ上がった。量産化に向けて動きだしたいが金型を作るだけでも100万円以上かかる。クラウドファンディングのプラットフォームCAMPFIREを利用しプロジェクトを立ち上げたところ788人から164万円が集まった。

■購入という「応援」の形

 これまで、アジフライの骨抜きなどさまざまな「ポンコツ発明品」を作っては「家族から冷ややかな視線を浴びてきた」という門脇さん。

「いいモノができたと思っても売れるかどうか、自分では判断が難しい。友人がいいねと言ってくれても、どこまで本音かわかりません。クラウドファンディングなら公平な評価がもらえて、大きな借金を抱えるなどのリスクなくチャレンジできる」

 3月からは念願の一般販売も始める予定だ。

 クラウドファンディングの仕組みを活用し、小さなアイデアから生まれた商品を「応援」するサービスは他にもある。アタラシイものや体験の応援購入サービス「Makuake」は、一般販売前にどれだけ市場があるか探る目的で利用する企業も多い。Makuakeではこれを「0次流通」と呼ぶ。小売りが1次流通、中古販売が2次流通だが、その手前の0次流通なら、大量の在庫と莫大な広告費を用意しなくてもチャレンジしやすいのだ。

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