石原慎太郎氏(2013年撮影)
石原慎太郎氏(2013年撮影)

 作家で元東京都知事の石原慎太郎氏が死去した。89歳だった。 

【写真】石原慎太郎氏が「10歳若く撮ってくれ」とお願いしたAERA表紙はこちら

 一橋大在学中に発表した小説「太陽の季節」で1956年に芥川賞を受賞した石原氏。のちに同作は映画化され、「太陽族」という流行語も生んだ。1968年参院選で自民党から立候補し初当選。政界進出を果たすと72年に衆院選に転身し、運輸相などを歴任した。89年の自民党総裁選に立候補するも敗れ、95年に議員辞職を表明。その4年後の99年4月に東京都知事選に出馬して初当選し、以降、4選を果たした。

 AERAでは、都知事選当選後の99年11月に石原氏のインタビューを掲載。せっかちな「べらんめえ」調で日米関係を語り出すと、次第に熱く早口になった。ここでは、当時の石原氏の言葉を紹介する。

*  *  *

――知事の方が国会議員より楽しそうですね。 

「そりゃあ、総理大臣になれば良かったんだろうけど、なれなかったからねえ。知事の方が仕事のしがいがあるし、手ごたえもある。新しいシステム、ひとつでもモデルみたいなものを作れたらいいな。それを堆積していくことで、日本が変わるかな、変えたいなあと思っているんだ」

――知事と国会議員の違いは?

「知事は仕事を、すぐやれる。お役人は、カネのかからないことはすぐやるしね。四年間は無競争だから、強引にやろうと思えばできるから。破天荒なことやったら大変だけど、なにも東京でクーデターするんじゃないんだから。前任者に比べれば、俺の方が千倍くらい人脈はあるからね。立法も行政も経験し、経済界の知人にも恵まれている」 

■東京都と日本は同心円

――自分も橋本龍太郎前首相くらいには、なれたと言っていたじゃないですか。

「違う、違う。佐藤(栄作元首相)派に入っていれば、だよ。俺は派閥が嫌いだったしさあ。続かないよ。雑巾掛けとかいって、つまらん会議にちゃんと出るなんて。知事になったときに言われたんだ。『小渕(恵三)総理は絶対に東京都知事になれないし、石原は絶対に総理になれない』って。その通りだな、と思ったよ」

――東京の知事でなければ、ダメだったんですか。

「他県の知事なんか、全然やる気がしないから。地方を見下すんじゃなくて、やっぱり首都だな。国に物理的にも時間的にも近い。国家と同心円だからな」

次のページ
「専門は何か?」と聞かれたら…石原氏は驚きの回答