シイラ(出典:WEB魚図鑑)
シイラ(出典:WEB魚図鑑)
アユ(出典:WEB魚図鑑)
アユ(出典:WEB魚図鑑)

 先日、友人の家にうかがった時に、お寿司屋さんの開店記念にもらったという湯飲みが置いてありました。魚へんの漢字がいっぱい書いてある、皆さんよくご存じのあの湯飲みでした。

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「懐かしいなぁ…」と思って手に取ってみていると、魚へんの漢字の由来にもいろんなパターンがありそうでしたので、さっそく分類してみました。

 まずわかりやすいのが、その魚の見た目からつくりをあてられているものでしょうか。

 平べったい形なので「鮃(ヒラメ)」や、葉っぱのような形の「鰈(カレイ)」、背中が青いから「鯖(サバ)」などはわかりやすいと思います。

 実は「鰻(ウナギ)」も見た目に由来する漢字なんです。鰻のつくりの「曼」は、細長いものを意味する漢字ということです。また、魚ではありませんが、「鯨(クジラ)」のつくりの「京」は、「高い丘」を表すことばで、「丘のように大きな魚」から「鯨」となったとのことです。

 次に、その魚がよく取れる時期や、その魚の旬の時期でつくりを当てられたものも結構あります。

 わかりやすいのが「鰆(サワラ)」や「鮗(コノシロ)」などのように、季節をつくりにした魚でしょうか。ほかにも「鯛(タイ)」は、年中(周年)取れるところから、そして「鯵(アジ)」は、3月によく取れるということから、これらのつくりが当てられたとのことです。

 やや余談になりますが、魚へんに秋と書く魚はご存知でしょうか?

「サンマ」と思われる方も多いとは思いますが、答えは「カジカ」です。こちらも秋が旬ということに由来しているとのことです。

 では、魚へんに夏と書く魚は何でしょうか?

 実は、そんな漢字はないんです。

 ただ、似た由来の魚として、夏の暑い時によく取れる「シイラ=さかなへんに暑」という漢字があります。ちなみに「シイラ」には、その見た目から「鬼頭魚」という漢字を当てることもあります。

 ちなみに「鰤(ブリ)」も、12月(師走)頃によく取れることに由来しています。確かにこれからの季節、脂ののった鰤は最高に美味しいですよね。

 少し変化球的ですが、「鰰(ハタハタ)」は、雷のなる頃によく取れるということから、「雷」を意味する「神」の字を当てたと言われています。

 読みの音に由来するものもありますよね。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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フナやキスの由来は?