元朝日新聞記者 稲垣えみ子
元朝日新聞記者 稲垣えみ子

 元朝日新聞記者でアフロヘア-がトレードマークの稲垣えみ子さんが「AERA」で連載する「アフロ画報」をお届けします。50歳を過ぎ、思い切って早期退職。新たな生活へと飛び出した日々に起こる出来事から、人とのふれあい、思い出などをつづります。

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 ワクチンを打たない人に対する偏見的な扱いについて、問題提起したい。

 前にも書いたが、ワクチンを打つか打たないかは任意であり、それぞれの事情や信条、ライフスタイルによって、それぞれの人がそれぞれの責任で決めることである。

 勿論(もちろん)、新型コロナウイルスの感染を防ぐという一点に注目してみれば、打つ人が多い方が良いという考え方は理解する。だが、コロナの問題は世に数多(あまた)ある大問題の一つであり、それを解決するには他の問題は無視して良いということではないはずで、絶対的な答えなどない。また、感染防止に必要なのはワクチンだけではない。個人が取る行動全てが関わってくる。

 なので、打たない人への一方的な攻撃、まるで社会悪であるかのような決めつけは、常軌を逸した行動だと私は思う。職場差別となれば明確に問題だ。

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稲垣えみ子

稲垣えみ子

稲垣えみ子(いながき・えみこ)/1965年生まれ。元朝日新聞記者。超節電生活。近著2冊『アフロえみ子の四季の食卓』(マガジンハウス)、『人生はどこでもドア リヨンの14日間』(東洋経済新報社)を刊行

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