福山哲郎(ふくやま・てつろう)/1962年生まれ。98年参院選で京都選挙区から初当選。民主党政権時には内閣官房副長官。2017年の立憲民主党結成に参画し現職(撮影/写真部・高野楓菜)
福山哲郎(ふくやま・てつろう)/1962年生まれ。98年参院選で京都選挙区から初当選。民主党政権時には内閣官房副長官。2017年の立憲民主党結成に参画し現職(撮影/写真部・高野楓菜)

 自民党総裁選が連日メディアで取り上げられる中、野党は次期衆院選をにらみ、連携を進めているという。今回の総裁選を野党側はどう見ているのか。AERA 2021年10月4日号では、立憲民主党の福山哲郎幹事長に話を聞いた。

【立憲民主党が発表した主な政策はこちら】

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──緊急事態宣言下での自民党総裁選挙を、どう見ますか。

 唯一、女性が2人立候補したことはよかったと思います。1年前、自民党は総裁選をやって圧倒的多数で菅義偉首相を選びました。1年たった今、再び総裁選をしているということは、自分たちが選んだ総理・総裁が失敗だったと自ら認めていることに他なりません。しかも菅政権も、その前の安倍政権も、コロナ対策の道半ばで突然、政権を投げ出しました。今は緊急事態宣言の最中です。国家の危機にもかかわらず、首相自ら政治空白を作ったのです。野党が再三再四、憲法に基づいて国会を開いて議論しようと求め続けているのに、いわば身内の権力争いを優先し、躍起になっています。あまりにも身勝手極まりない。

 総裁選の候補者は、いずれも自民党幹部です。河野太郎氏は菅政権のワクチン担当相という要職です。それにもかかわらず、いずれの候補者からも、これまで1年半余りの自民党のコロナ対策に関する反省や謝罪がありません。国民からしてみれば、なぜ菅首相がこのタイミングで政権を手放すのか、全くその理由すらも見えてきません。安倍政権以降、とにかく「説明しない」政治が続いています。

■選挙の連敗ですげ替え

──なぜ、このタイミングでの総裁選なのでしょうか。衆院議員の任期も迫り、解散総選挙を有利に進めるためですか?

 3月の千葉県知事選挙、4月の三つの補欠選挙と再選挙、そして、8月の横浜市長選挙。一連の選挙で菅首相は勝利することができなかった。対内的に自民党総裁の最大の仕事は「選挙で勝つこと」。しかし、このまま菅首相の下で解散総選挙を行えば、自民党は大惨敗を喫する。だから総理の首をすげ替えて、権力の維持を図る。無派閥の菅首相は派閥の領袖(りょうしゅう)に担がれて、総理の椅子を手に入れました。しかし、「菅じゃ無理だ」となった途端、一気にはしごを外された。菅首相は、首相の専権事項である「人事権」と「解散権」を盾にして抵抗しましたが、いずれも封じられ急速に求心力を失ったと思います。

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