竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長
竹増貞信/2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

「コンビニ百里の道をゆく」は、52歳のローソン社長、竹増貞信さんの連載です。経営者のあり方やコンビニの今後について模索する日々をつづります。

【写真】東京都内の配送センターでは、水素を燃料にした「燃料電池小型トラック」を導入しました


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 CO2排出量の削減など、環境に配慮した持続可能なモデルへ――。私たちが力を入れていることの一つに「物流の改革」があります。

 世の中でこれだけSDGsが推進されている中で、私たちの物流においても「使いたい車を思うように走らせ続けられる」時代ではありません。CO2を排出する物流から、脱CO2の物流へ。自然な流れで変わってきていると思います。

 たとえば数年前まで、店舗に商品を運ぶ物流プログラムは「オンタイム(時間通り)」で組まれていました。その結果、「遅れてはまずい」と早めに着いて、アイドリングしつつ時間を調整するトラックが店の前に止まっていることもありました。その分、CO2を排出しているわけです。オーナーさんからも声が上がり、今では「早く着く分には、その都度フレキシブルに受け取る」形に変わりました。

 そんな流れの中、AIを使って、店舗への配送ダイヤグラムを管理する実証実験を開始します。現在は3カ月間固定のダイヤを、その日の各店舗の在庫状況や発注数量をもとにAIが最適なダイヤに組み替え、「最適な物流」を日々、見つけていく。そうすることで無駄をなくし、CO2削減にもつなげる。2023年度中には、AIが毎日自動で作成するダイヤで低温・常温・冷凍の配送センターから配送を行う予定です。

東京都内の配送センターでは、水素を燃料にした「燃料電池小型トラック」を導入しました
東京都内の配送センターでは、水素を燃料にした「燃料電池小型トラック」を導入しました

 もう一つは、走行中にCO2を出さない車を採り入れることです。トヨタ自動車と日野自動車が共同で開発した「燃料電池小型トラック」を、7月から東京都内の配送センターに導入、走行実証実験も始めています。

 これらの物流改革は、便利さでも商品コストの面でも、加盟店のみなさんとお客様の満足度につながることが大前提です。そのために経済合理性もしっかりと両建てで担保しつつ、今後も環境に配慮した物流改革に取り組みます。

竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

AERA 2021年10月4日号

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竹増貞信

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竹増貞信(たけます・さだのぶ)/1969年、大阪府生まれ。大阪大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。2014年にローソン副社長に就任。16年6月から代表取締役社長

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