占い師、作家 しいたけ.
占い師、作家 しいたけ.
※写真はイメージ(gettyimages)
※写真はイメージ(gettyimages)

 AERAの連載「午後3時のしいたけ.相談室」では、話題の占い師であり作家のしいたけ.さんが読者からの相談に回答。しいたけ.さんの独特な語り口でアドバイスをお届けします。

*  *  *

Q:子どもに勉強を教える仕事をしています。結婚して3年になりますが、仕事にのめり込んでしまうと家庭のことがなおざりになります。仕事が終わると疲れてご飯も作れない状態で、夫は気にしていないのですが、後回しになって申し訳なく思います。頼られると自分のキャパを超えてやってしまい、流される毎日です。(女性/教育系/29歳/おうし座)

A:ワーク・ライフ・バランスという言葉が出てきてから、仕事とプライベートのバランスを取ることは各自の大きな課題になりました。

 でも、究極的なことを言ってしまうと、僕は「バランスなんて整えることができるのか」って思ってしまうんです。バランスが取れるようになったそのとき、人はもう引退している気がします。これをなんとかしなきゃとか、全然休んでないから休みの時間増やさなきゃ、って切羽詰まっているときのほうが実は面白かったりするんですよね。

 占いの話になってしまうんですが、中国には「易占い」というものがあります。その時の状況を表す64の「卦」というものがあるんですが、それは「バランス」を見るものなんですね。例えば「今あなたはすごく過激な状態だからもうちょっと様子をみましょう」とか、逆に「今あなたは弱気になりすぎているからもう一歩前に出てみましょう」とか。バランスの強弱を見る占いなんです。

 最後の方で「バランスが整った卦」が出てくるんですが、面白いことに、バランスが整っている卦には一番面白くないことが書いてあるんです。物事が完成した卦。それはつまり、それ以上もう何も動かない状態。だから例えば恋愛を占った時にバランスが究極に整ってしまうと、もう何も発展性がない、動かないということになります。物事はバランスが整っていないからこそ、未完成だからこそもっと成長したいという気持ちが出てくるものです。そういう意味では、のめり込んで疲れてしまうほどの時間って、案外大事なのかも、と僕は思ってしまうんですよね。

著者プロフィールを見る
しいたけ.

しいたけ.

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

しいたけ.の記事一覧はこちら
次のページ