総裁選へ意欲を示す野田聖子・自民党幹事長代行(撮影/写真部・張溢文)
総裁選へ意欲を示す野田聖子・自民党幹事長代行(撮影/写真部・張溢文)

 菅義偉首相が電撃退陣を表明し、政界が大混乱に陥っていた3日夜。筆者の携帯電話が鳴った。表示された名前は、野田聖子。「首相に最も近い女性」は開口一番、「総裁選、出るわよ」と言い切った--。かつて番記者を務めた筆者に野田氏が語った「勝算」と、出馬を後押しした意外な「一言」とは。「AERA9月7日発売号」掲載のスクープインタビューから抜粋する。

【写真】息子、真輝くんといると母親の表情に戻る野田氏

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──菅義偉首相が自民党総裁選不出馬を表明しました。ズバリ、立候補しますか。

 今日(3日)、立候補を目指すと決めました。首相になるという思いはずっと変わらないんだけど、改めて「家族に負担をかけることになるな」と思い、夫に「立候補していい?」と聞いた。夫は何の躊躇も無く「もちろん!」と答えてくれました。その言葉を聞いて、必ずやり遂げるぞとの思いが強まりました。

──これまでは20人の推薦人集めに苦労してきました。

 そうだね。ものすごく強い相手に対して私ぐらいしか立ち向かおうとしなくて。結果的に立候補もかなわなくて、苦しい思いをしてきた。でも今回は状況が違う。私からガツガツ「支持してください」とお願いするというよりは、今の状況に疑問がある人たちの「受け皿」として、大きな期待が寄せられているのを実感しています。

 期待してくれているのは、多様性を求める人たちだと感じます。少子化対策や女性の権利など、社会的に弱い立場に置かれる人たちを大切にする政策を変わらず訴え続けてきた私に期待してくれているのではないでしょうか。

──当選したら、子育てと国のトップを両立させることになります。

 外遊もある、危機対応もある。家族に負担をかけることになるのは間違いないけど、幸い私には私以上に息子を愛してくれる夫がいます。協力し合うことで必ず乗り越えられると思っています。それに、我が子というたった一人の存在を背負えない人間は、1億2千万人の命も背負えないと考えています。

──幹事長代行として菅政権の中枢にいた野田さんが、次期首相としてふさわしいのかという見方もあります。

 特に新型コロナ対策では、私の息子が重篤な基礎疾患を持っているということもあり、自民党の中で誰よりも責任を持って取り組んできたつもりです。

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敵は「おじさん」じゃない