宮藤官九郎(くどう・かんくろう、右):1970年、宮城県生まれ。TBS「俺の家の話」(2021年)、NHK「いだてん」(19年)、同「あまちゃん」(13年)など話題作の脚本を手掛ける/のん:1993年、兵庫県生まれ。近年の出演作に映画「星屑の町」「私をくいとめて」(ともに2020年)など。自身が監督・脚本・主演を務める映画「Ribbon」が22年公開予定(撮影/慎芝賢)
宮藤官九郎(くどう・かんくろう、右):1970年、宮城県生まれ。TBS「俺の家の話」(2021年)、NHK「いだてん」(19年)、同「あまちゃん」(13年)など話題作の脚本を手掛ける/のん:1993年、兵庫県生まれ。近年の出演作に映画「星屑の町」「私をくいとめて」(ともに2020年)など。自身が監督・脚本・主演を務める映画「Ribbon」が22年公開予定(撮影/慎芝賢)

 毎朝、日本中に笑顔と感動を届けた「あまちゃん」から8年、宮藤官九郎とのんの黄金コンビが再びタッグを組む。再会の場所は、渋谷・PARCO劇場。型破りなロックオペラが開幕する。AERA 2021年8月9日号で対談した。

*  *  *

——2009年に第1弾が上演され、今回が第4弾となるロックオペラシリーズ「大パルコ人」。宮藤官九郎作・演出で、芝居あり歌ありバンド演奏ありの型破りなこの舞台に、のんが初参加する。二人のタッグはNHK連続テレビ小説「あまちゃん」(13年)以来8年ぶり。この発表にSNSが沸いた。

宮藤:のんちゃんに出てもらえることになってよかったです。僕はいろんなシリーズの舞台をやっているけど、音楽活動も積極的にされているのんちゃんには「大パルコ人」に出てもらいたいなと思っていたので。

のん:昨日の本読みも楽しくてずっと笑ってました。

宮藤:このシリーズは、役者が演奏して歌ってそのまま芝居するっていう敷居の高くない感じが面白いと思うんです。このスタイルに、のんちゃんはハマるだろうなと。こんな公演タイトル(「愛が世界を救います(ただし屁が出ます)」)なので、気持ちがちゃんと伝わるか不安だったんですけど。

のん:オファーをいただいた時は「タイトル未定」でした。やりたい!ってお受けしたあとに、「屁」が……。

宮藤:すいません(笑)。

■テレパシーを使うと

——今回の物語では、世界戦争を生き延びた一風変わった超能力者たちが、2055年の渋谷を舞台に活躍する。例えば主要キャストの一人である村上虹郎が演じるのは、「予知能力があるが未来を見ようとするとオナラが出てしまう人」で、のんが演じるのは「テレパシー能力を使うと顔がブサイクになる人」だ。

のん:私が台本を読んだ感じだと、普通の人が一人も出てこない物語ですね(笑)。

宮藤:とにかく役に立たない能力を持った人たちばかり(笑)。そんなのんちゃんと虹郎君が出会って、ちょっとだけ世界を救う話です。稽古中はマスクをしているので、のんちゃんがどんなブサイク顔をしているか、まだ僕も見てないんですけど。

のん:強い覚悟をもって臨んでいます(笑)。

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