LiLiCo(りりこ)/スウェーデン出身。18歳で来日し、2001年から「王様のブランチ」で映画コメンテーターをつとめる。夫は「純烈」の小田井涼平(本人提供)
LiLiCo(りりこ)/スウェーデン出身。18歳で来日し、2001年から「王様のブランチ」で映画コメンテーターをつとめる。夫は「純烈」の小田井涼平(本人提供)

 長い人生、自分らしく生きるために、50歳から新たな戦略が必要になる。とはいえ、多くの人は、思い切った行動を取るのは難しいはずだが、中には長年の夢をかなえた人もいる。50歳でミュージカルの舞台に立った映画コメンテーターのLiLiCoさんだ。そのポジティブな姿勢を参考にしたい。AERA 2021年8月2日号は、50歳の初挑戦に迫った。

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「ミュージカルは10歳の頃からの夢。50歳で実現したいとずっと思っていました」

 22歳で歌手としてデビュー、現在は映画コメンテーターとしても活躍するLiLiCo(50)。今年3月から上演された「ウェイトレス」で、初のミュージカルに挑戦した。なぜ、「50歳」だったのか。

「若い頃から、顔かたちも身体も『ミュージカルに向いてる』と言われ続け、自分でもそう思ってました。ただ30歳から始めても、その世代に合う役柄はきれいで歌のうまいライバルがたくさんいる(笑)。でも前田美波里さんや中尾ミエさんや森公美子さんのように、50歳くらいに合った『強烈なキャラクター』を演じられる人って、日本ではそれほど多くない。そんな戦略的な考えもありました」

 一方で、すでに40歳頃から「50歳でミュージカルやりたい」をできるだけ、「口に出す」ようにしてきたという。

「夢って、自分の心にしまっておいてもかなわない。今回も『50歳でミュージカルを』と話す私の記事を読んだ『ウェイトレス』のプロデューサーが声をかけてくれた。夢は口に出す。これ大切です」

■これまでの50年は貯金

 50歳の初挑戦。しかし、事は簡単に進まない。オーディションの際、「このままでは長丁場のミュージカルに適応できないかも」と、声帯をいちど診てもらうよう勧められたという。

「診てもらったらボロボロで。『ウェイトレス』がなかったら私、手術はしなかった。歌手LiLiCoは酒焼けのハスキーボイスでOKでしょ、と。でも、それまで何でも自分で決めて乗り越えてきたけど、このときはふと、『たまには人の言うことを聞こう』と思ったんです」

 昨年8月、人生初である声帯の手術を何とか乗り切ったLiLiCoだったが、その2日後、今度は転倒し、膝を骨折する大けが。また手術となった。

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