AERAの連載「はたらく夫婦カンケイ」では、ある共働き夫婦の出会いから結婚までの道のり、結婚後の家計や家事分担など、それぞれの視点から見た夫婦の関係を紹介します。2021年7月19日号では、Millet 農家・パン職人の隅岡敦史さん、Millet 料理人の隅岡樹里さん夫婦について取り上げました。

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夫31歳、妻31歳で結婚。長男(8)と妻の母と妹と、京都市内の山間部に暮らす。ヤギと鶏と犬を飼う。

【出会いは?】妻が、石窯パン研究家の故・竹下晃朗氏らと自宅に石窯を作り、パンのワークショップを開催。そこに夫が参加した。

【結婚までの道のりは?】妻のカフェがある集落に、夫は米作りに通っていた。夫は妻が始めた石窯パン作りの運営に携わり、薪を使って天然酵母パンを焼くように。志が同じで、一緒にできることがたくさんあると感じ、1年の交際を経て結婚。

【家事や家計の分担は?】食事は妻。夫は家の改修や洋裁を手がけ、息子の卒園式や入学式の服も手作りする。その他の家事は特に分担を決めない。財布は別だが、明確には決めていない。


隅岡敦史[43]
Millet 農家・パン職人

すみおか・あつし◆1978年、広島県生まれ。近畿大学文芸学部卒業。医療やまちづくりのNPO法人勤務を経て、妻と共にMilletを運営。自家農場を担い、料理に使う無農薬の作物栽培や石窯でパン製造、農産物を使った食品加工や販売を行う。京都大学で小麦栽培の技術補佐も。自然と人をつなぐ場を開いている

 里山に来てから、僕はできることが増えました。肩書も一つにこだわってなくて、何やってる人なん?ってよく聞かれます(笑)。地元の人はここは何もないって言いますが、視点を変えれば宝物だらけ。石窯で毎日焼くパンにも、薪を使える。最近は地域の人が山の使い道に困っているのもあって、木で暮らしの道具作りなど、子どもたちと山で遊んで木を身近にする活動も。自然を取り入れた生活をするきっかけを作るのも僕の役割と感じています。

 樹里ちゃんは旬の野菜が持つ力を生かして、その時々の感覚でガンガン料理していく。その能力がすごいなと思います。お店は集落に一軒だけなので、カフェは物事が動く「ハブ」として機能。空き家を紹介して不動産屋みたいな動きもしていて、それで移住した子育て世代の家族もいます。彼女といると物事が面白く展開していく。僕らがMilletでできることを、これからも協力してやっていきたいです。いつもおいしい食事をありがとう。

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