※写真はイメージ(gettyimages)
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 腎臓に負担をかけている人が今、働き盛りの世代を中心に増えている。塩分過多になりがちな生活習慣の見直しが必要だ。「デトックス」特集のAERA 2021年6月28日号から。

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 だるさやイライラ、不眠などの不調は、体内の“解毒”能力が低下しているサインの可能性もある。健康的と思っている生活習慣が、体に負担をかけてはいないだろうか。

 たとえば、「和食」。2013年にはユネスコ無形文化遺産に登録され、和食=健康にいいというイメージを持つ人も多い。確かに多様な栄養や発酵食品をとりやすいといったメリットはあるが、醤油や味噌などの使用が多く、塩分過多になりがちだ。

 こうした生活習慣が腎臓にかける負担について、警鐘を鳴らすのは、AGE牧田クリニック院長の牧田善二医師だ。

「皆さんご存じのとおり、塩分のとりすぎは高血圧の原因になります。日本人は塩分を過剰に摂取している人が非常に多い。そして高血圧を放っておくと、知らず知らずのうちに腎臓を壊してしまうんです」

 今、働き盛りの40~50代を中心に、腎機能に黄信号の慢性腎臓病予備軍が増えているという。

 1日あたりの食塩摂取量はWHO基準で5グラム未満、日本高血圧学会の推奨値は6グラム未満だ。だが、ご飯に漬物、焼き魚に味噌汁という朝食メニューの場合、塩分は味噌汁1杯に約2グラム、塩鮭1尾には約3グラム含まれる。まぐろ漬け丼は約4グラム、うどんなら約7グラム。疲れやすいこの時期、スタミナをつけようと味付けの濃い定食を食べても、さっぱりしたいとうどんを流し込んでも、あっという間に塩分は推奨値を超えていく。夕食に塩辛い肴で晩酌でもしようものなら、目も当てられない。

 実際、日本人の食塩摂取量は極めて高い。厚生労働省の調査(19年)によると、1日あたり男性は平均10.9グラム、女性は9.3グラムも摂取している。

■高血圧で腎臓病リスク

 腎臓は人体の“解毒”を司る、重要な器官だ。人間の体内では生命維持に必要なエネルギーが絶えず生成され、同時に毒素や老廃物も発生している。腎臓はそれら老廃物を尿に排出する。

 腎臓には毒素や老廃物をろ過するための膜がある。例えるなら、コーヒーをいれるときのペーパーフィルターのようなものだ。フィルターが機能していれば、有毒物質を尿の中に捨てることができる。しかし、フィルターが破れたら豆かすが漏れ出るのと同じように、体中に毒素が蔓延してしまうという。

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