井手上漠の転機は弁論大会 「私自身が気づいていなかった言葉たちが出てきた」 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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井手上漠の転機は弁論大会 「私自身が気づいていなかった言葉たちが出てきた」

澤田憲AERA

「可愛すぎるジュノンボーイ」として話題となり、現在はモデルとして活躍する井手上漠さんがAERAに登場。初のフォトエッセイ『normal?』執筆で感じたこととは? AERA 2021年6月21日号から。

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 15歳のとき、モデルとしてデビューした。体は男性でありながら、可憐な容姿で「可愛すぎるジュノンボーイ」として話題になった。4月に発売したフォトエッセイ『normal?』では、生まれたときから性自認が「ない」まま過ごしてきた18年間の体験と、LGBTQに対する自身の考えを率直な言葉で綴った。

「本を書いて感じたのは、言葉の偉大さと難しさ。伝えたいことはたくさんあるけれど、『こう書いたら、ただのわがままになってしまうかも』とか、ひとつひとつ言葉の選び方や伝え方に悩んで、何回も書き直しました」

 言葉にこだわるのは、何よりも自分自身が言葉に傷つけられもし、救われもしてきたからだ。「自分のことを話すのは得意ではない」と語るが、中学3年生のときに担任の推薦で「少年の主張全国大会」に出場したことが大きな転機になった。

「発表当日は緊張しましたね。自分の性に対する違和感や、そのために傷ついた過去が、人にどう響くかわからなかったので。でも、母が『漠が話すことで誰かの救いになるかもしれない』と言ってくれて、勇気を出しました」

 この大会で、井手上は文部科学大臣賞を受賞。「受け入れてもらえた。正直に言葉を発していいんだっていう自信がつきました」と話す。

 現在は、モデル、タレントの仕事のほかに、テレビや新聞、ラジオ、ネットメディアなど、さまざまな媒体に出演している。SNSでは、日々の生活で感じたことをポジティブな言葉で積極的に発信する。

「弁論大会をきっかけに、言いたいことがこみ上げてきたんです。今まで心の内側にたまっていたけど、私自身も気付いていなかった言葉たちが、たくさん出てきたんだと思います」

(ライター・澤田憲)

AERA 2021年6月21日号


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