AERA 2021年6月14日号より
AERA 2021年6月14日号より

「食後、下腹部が出る」「いつもおなかがスッキリしない」。そんな症状に身に覚えがあれば、「停滞腸」の可能性がある。どうすれば改善できるのか。AERA 2021年6月14日号は医師に聞いた。

【図】腸活にNGな「食べ合わせ」はこちら

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「コロナ禍が始まってからは、先がどうなるか分からない不安や、在宅勤務で活動量が激減したことから、『停滞腸』がより増えているように思います」

 こう指摘するのは、医師で松生(まついけ)クリニック(東京・立川)院長の松生恒夫(つねお)さん。健康な腸は、腸管の口側が収縮し、肛門(こうもん)側が弛緩(しかん)して内容物を先へ押し出す蠕動(ぜんどう)運動が絶え間なく起こっている。停滞腸は、蠕動運動の動きが悪く、便や老廃物が完全に排泄されなくなった状態で、松生さんの造語。腸内環境が悪化するので、ガスが発生しやすくなり、腹部膨満が起こる。停滞腸を放置すれば、肌荒れ、食欲不振、胸焼け、むくみ、肥満につながりかねない。

 松生さんによれば、停滞腸に陥る人には、共通点があるという。「野菜や果物をあまり取らない」「水分を意識的に多くとっていない」「朝食を抜いている」「1日3食きちんと食事していないことがよくある」「外食が多い」「肉や脂肪分の多い食事が好き」「いつもおなかがスッキリせず、体も重たく感じている」「食後、下腹部が出る」「運動習慣がない」「最近、不安やストレスを感じる」──などだ。あなたはどうだろう?

■1週間で違いを感じる

「停滞腸は、食生活や生活習慣との関わりが大きい。ほんの少しの変化でも、影響を受けて、働きが悪くなります。しかし言い換えれば、食生活や生活習慣を良い方向に持っていくことで、停滞腸が改善されます。腹部膨満が出て間もない人なら、1週間で腸の違いを感じます」

 松生さんが勧めるのは、六つの習慣で成り立つ「腸内リセット」法だ。(1)朝は1時間ほど余裕を持って起きる、(2)目覚めてすぐにコップ1杯の水を飲んで、腸をしっかり働かせるスイッチを入れる、(3)朝食を食べ、排便に重要な「大蠕動」を起こす。

「朝の大蠕動は、朝食後1時間以内に起こり、一日で最も強い便意です。時間がないからと便意を我慢すると、便秘につながりやすく、停滞腸を招きます」

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