さらに、(4)味噌、しょうゆ、漬物などの発酵食品に含まれている植物性乳酸菌をとる(FODMAPの悪影響を受けている人は除く)、(5)水溶性と不溶性の食物繊維をバランス良くとる、(6)食事は野菜やキノコ類の食物繊維から食べ始め、肉や魚のメイン、最後にご飯を少量とる。

「食物繊維に関しては、やみくもに量をとればいいというのではありません。水に溶けやすい水溶性と、水に溶けにくい不溶性を1対2の割合でとるのが理想的です」

 不溶性食物繊維だけが多いと、便が硬くなったり、水分不足で腹部膨満が強くなったりする恐れがある。食物繊維にバリエーションを持たせて食べると良い。

 これらに加えて、松生さんが提案するのは、オリーブオイルを毎日とること。

「オリーブオイルに含まれるオレイン酸は一時的に多量に摂取すると、小腸まであまり吸収されることなく腸内に残ります。そして腸内の便を軟らかくし、また腸を刺激し、排便を促す蠕動運動を活発にする働きがあります」

 年をとると腸の働きが悪くなるため、高齢者から停滞腸について相談を受けることが、松生さんはよくある。オリーブオイルを提案すると、「食べ慣れていないから」と言われることもあったが、“ある食べ方”を紹介するようになってからは、「おいしい」と好評。「病みつきになって、毎日食べています」という人も出てきた。

■クリーミーで匂い消失

 その食べ方は、オリーブオイルを納豆にかける方法。何も入れずに納豆をよくかき混ぜ、納豆を持ち上げるとしっかり糸が引くくらいまでネバネバになったら、オリーブオイルを大さじ1杯程度入れ、納豆全体になじむようにさらにかき混ぜる。

 オリーブオイルは、エキストラバージンオリーブオイルを使う。最後に、付属のタレやしょうゆを加えてまんべんなく混ざったら出来上がり。納豆が非常にクリーミーになり、独特の匂いも消える。

「納豆そのものが消化がよく、水溶性食物繊維も豊富。オリーブオイルと納豆は意外な組み合わせかもしれませんが、停滞腸対策としては、抜群に相性のよい食材なのです」

(ライター・羽根田真智)

AERA 2021年6月14日号