シオリーヌ:私自身は母親から生理をオープンに伝えてもらって、タブー視する感覚は養われなかったんですが、高校とかで友達同士でナプキンを貸し借りしなきゃいけないときは制服のブレザーの内側でこそこそやりとりして。そういう振る舞いを見て、隠さなきゃいけないものだと学習していきました。蜷川さんのナプキンが発売されたとき、友人と「あれ見た?」って話になった。ナプキンの話が世間話に出ることはほかにないことです。

蜷川:面白いのは、インスタにたくさんあがっていること。ナプキンがあんなにSNS上に載ることってないんじゃないかな。中には「かわいいナプキンが一つ増えただけじゃない、大きな意義があること」とおっしゃってくださった方もいました。

■「男だから泣かない」

シオリーヌ:私のユーチューブを見てくれている方々の話を聞いていると、お母さんとの間でも生理の話がしにくいという声もある。生理不順や重たすぎる生理の背景には、婦人科疾患が隠れていることもあって、長年放置し続けると将来的に妊娠しづらい体になることもあるので、生理の症状で日常生活に支障をきたしているようなときには、なるべく早く婦人科にかかってほしいのですが、親にも話せなかったり理解してもらえなかったり。そういう意味では、生理を話題にできる商品の登場の影響は大きいと思います。

蜷川:シオリーヌさんの本、読みました。特に『こどもジェンダー』は前から気になっていて、うちは子どもが2人とも男の子なんですけど、私の口から一度も言ったことないのに、「男だから泣かない」とか言うんです。

シオリーヌ:家庭で気をつけていても、学校や幼稚園、保育園などどこかで身につけてくるという話はいろんな親御さんから聞きます。ジェンダー教育や性教育は日常の中でできると思うんです。お子さんから「生理ってなに?」と聞かれた時に、うそをついたりはぐらかしたりせずに普通に答えることや、「子どもはどうやってできるの?」って質問にこうのとりを登場させないとか、両親がどういうパートナーシップを育んでいるかとか。一つ一つの会話や振る舞いが性教育、ジェンダー教育なんだと思います。

■描かれるのは多数派

蜷川:この間、中2の長男が学校の課題でジェンダーについて調べたんです。そうしたら自分の身の回りと日本における女性の地位が違ってびっくりして。多様な女性像、男性像があることを知るのはすごく重要なことで、男だから、女だからということにとらわれすぎず、自分として、というところに着地できるのが必要だと思っています。

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