もし7月までに新型コロナのまん延、拡大が収まらず、東京の緊急事態宣言を解除できなかったら、どうなるのか。複数の政府関係者、与党関係者に取材したところ、いずれも「それでも菅総理は五輪はやる」の一点張りだ。「中止や延期の選択肢は、絶対にあり得ないのか?」と畳みかけると、大多数が「ない」と回答。ある関係者は「理由が何であれ中止・再延期が決まれば、その時点で菅総理は辞任されるでしょう」と語った。

 枝野幸男・立憲民主党代表は、国会会期末に向け、「緊急事態宣言が解除できる状況になれば」と語った上で、会期末の内閣不信任決議案の提出に含みを持たせた。3月29日の段階で、二階幹事長は「(不信任案提出なら)直ちに解散で立ち向かうべきだ」と発言し、野党を牽制(けんせい)した。しかし、コロナ収束にしても、五輪開催にしても、ワクチン接種にしても、菅政権は国民に明確な「出口戦略」を提示できていない。野党の攻勢も激しさを増す中、菅政権が会期末のタイミングで解散に打って出る体力はまずないであろう。(編集部・中原一歩)

AERA 2021年5月31日号より抜粋