「無観客配信があるじゃないかと言われますが、劇場という空間に身を置き、いろんなことをシャットアウトしてひとつのことに集中できる環境は、ほかにあまりない。寄席の方々の『社会生活の維持に必要』という言葉に、激しく同意します。今は観劇する側も可能な限りの感染拡大防止策を講じており、一緒に行った友達とも直接会話せずラインで話をするなどして、幕間のロビーやトイレは非常に静か。一方で、舞台や映画を観に行けないことで、ストレス過多になる人は多いのでは。現に、私がそうですから」

■先に議論しておくべきこと

 26日の記者会見で、西村康稔経済再生担当相は、緊急事態宣言期間中も営業を続ける演芸場に対し、変異株を理由に「休業要請に応じてほしい」と理解を求めた。

 感染リスクを下げる必要は理解できる。ただし、痛みを伴う自粛を要請するには、何を社会生活の維持に必要とみなすか、緊急事態宣言の具体的な目標をどこに置くのか、休業を要請したり依頼したりする場合の連絡体系や補償の整備など、先に議論しておくべきことが置き去りになっていることは事実だ。(ライター・羽根田真智)

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