12月の出荷に向けて準備が進む「オーガニックはまち」
12月の出荷に向けて準備が進む「オーガニックはまち」

 筆者の実家はぶどう農家で、シャインマスカットなどの品種を栽培して出荷しています。

【写真】チョコとみかんで育てたブリはこちら!

 その一方で、家の周りの畑(一般的には家庭菜園というんでしょうが、家庭菜園というにはかなり広いです)では、キャベツやレタスなどの葉ものから、大根やニンジン、ゴボウなどの根菜、そしてトマトやきゅうり、ナスなど、季節によってさまざまな野菜を栽培していて、それらの野菜が日々食卓に並んでいました。

 今から思うと、昼食にうどんを食べる時に、家の前の畑から大葉を摘んできて入れたり、朝食には庭でとれたてのみずみずしいレタスやトマトが出てきたりと、都会暮らしの今となっては考えられない贅沢な食生活だったと思います。畑で真っ赤に熟したトマトの強烈な香りととても濃厚な味は、今ではなかなか味わうことができません。

 ただ、たまにレタスを食べようと箸でつかむと下から蝶の幼虫が出てくるのは勘弁してほしかったですが……

 いきなり余談から始まって恐縮ですが、もう少し野菜の話をさせてください。

 近年は人々の健康志向が高まり、オーガニック野菜やオーガニックワインという言葉を普通に聞くようになってきました。

 オーガニック野菜とは、一般的には、農薬を使わずに育てた野菜と理解されている方が多いようですが、正確には違います。

 オーガニック野菜の栽培条件は非常に厳格に定められていて、単に農薬や化学肥料を使用しないだけではありません。

 その畑の過去を遡って、化学肥料の成分が残留していないか、さらに有機ではない栽培を行っている畑からの距離や位置関係も規定されています。風や地下水によって、有機ではない畑の土壌が混じるのを防ぐためとのことです。その他にも、持続可能な手法で栽培しているかなど、いろいろと細かい規定がされているんです。

 そして実はいくつかの種類の農薬や化学肥料を使用することも認められているんです。

 ちなみに、似たような意味で使われるものに「無農薬野菜」というものがあります。

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岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

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