1度目の緊急事態宣言下では閉鎖された喫煙所も多かった。新型コロナウイルスの感染リスクと重症化リスクには喫煙も関係しているという (c)朝日新聞社
1度目の緊急事態宣言下では閉鎖された喫煙所も多かった。新型コロナウイルスの感染リスクと重症化リスクには喫煙も関係しているという (c)朝日新聞社
AERA 2021年1月18日号より
AERA 2021年1月18日号より
AERA 2021年1月18日号より
AERA 2021年1月18日号より

 男性は女性に比べ、新型コロナウイルスに感染して重症化したり死亡したりするリスクが高いと世界各地で報告されている。ホルモンや喫煙習慣などが関係しているとみられる。AERA 2021年1月18日号から。

【図解】男性死亡リスクは1.4倍!新型コロナウイルスにおける性差

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 男性であることそのものが、新型コロナウイルス感染症のリスクファクターだ。

 英ユニバーシティー・カレッジ・ロンドン(UCL)などの研究チームは、世界の感染者約311万2千人の症状や経過を分析した。感染者数は男女同じなのに、集中治療室(ICU)で治療を受けなければならないほど重症化するリスクは男性の方が女性に比べて2.8倍高く、死亡リスクは1.4倍高かった。

 研究チームが昨年12月に英科学誌「ネイチャー・コミュニケーションズ」に発表した論文によると、分析の対象は、昨年1月1日~6月1日までに公表された、46カ国と米国44州の統計報告や、研究者の論文など90本に掲載された感染者の情報だ。

 感染者数は、男女差のみられる国があったものの、総合的には男女同数だった。それにもかかわらず、ICUで治療を受けた人数や、死亡者数は男性の方が多かった。

 研究チームが対象としたのは昨年6月1日までに報告された感染者だが、新型コロナウイルス感染症の影響を性別ごとに調べている「The Sex,Gender and COVID‐19 Project」によると、昨年12月中旬現在で、やはり感染者数は男女同じものの、男性は重症化が1.9倍、死亡が1.4倍リスクが高かった。

■ミャンマーは3.8倍

 国別にみると、死亡者の性別がわかっている87カ国のデータのうち、男性の死亡率が女性と同じか低いのは15カ国だけで、72カ国は男性の死亡率の方が高かった。男性の死亡率が女性に比べて最も高かったのはミャンマーで3.8倍、次いでタイとチュニジアが2.5倍だった。

 厚生労働省によると、国内では昨年12月29日時点の男性の死亡率が1.6%だったのに対し、女性の死亡率は1.2%で、男性の死亡率の方が1.3倍高かった。

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