2021年の日韓関係「現金化」が重要局面 文大統領の政治判断あるか? カギを握る「北朝鮮」と「韓国国民」 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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2021年の日韓関係「現金化」が重要局面 文大統領の政治判断あるか? カギを握る「北朝鮮」と「韓国国民」

牧野愛博AERA
2021年にはバイデン米新政権がスタートし、東京五輪が予定されている。日本、米国、韓国、北朝鮮の関係もそれらに影響を受けながら動いていく[写真:写真部・高野楓菜(コラージュ)、東亜日報提供(文氏)、朝日新聞社(菅氏、バイデン氏、金正恩氏]

2021年にはバイデン米新政権がスタートし、東京五輪が予定されている。日本、米国、韓国、北朝鮮の関係もそれらに影響を受けながら動いていく[写真:写真部・高野楓菜(コラージュ)、東亜日報提供(文氏)、朝日新聞社(菅氏、バイデン氏、金正恩氏]

 徴用工問題などでこじれる日韓関係は2021年はどうなるか。米新政権のスタートや東京五輪も予定されるが、明るい見通しは依然見えてこない。 AERA 2021年1月11日号で掲載された記事を紹介。

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 長らく超低空飛行が続く日韓関係だが、2021年に局面転換の機会が訪れるかもしれない。良くなるとは限らない。上昇するかもしれないが、墜落もありうる。どちらになるか、韓国の文在寅(ムンジェイン)政権の政治的選択にかかっている。

 局面転換の機会は、元徴用工らへの損害賠償を命じられた日本企業の韓国資産が現金化される時期にやってくる。韓国司法は現在、日韓協議の行方を見守っているのか、現金化命令を出していない。原告団の一部は一刻も早い現金化を求めている。日本政府関係者は「21年春には現金化命令を出さざるをえなくなるのではないか」と予想している。

■文氏の政治判断あるか

 もし、現金化命令が下されればどうなるか。日本外務省の滝崎成樹アジア大洋州局長(当時)は20年10月29日の日韓協議で「現金化の流れを止めなければ、日韓関係は破滅だ」と伝えた。日本側はさまざまな報復措置を検討しており、日韓で報復合戦が始まるのは必至だ。そうなれば、文政権の任期である22年5月まで、日韓関係はほぼ断絶した状態に陥るだろう。

 他方、文政権がギリギリの局面で、現金化命令を事実上無効化する措置に踏み出す可能性もある。文政権は従来、「三権分立」を理由に司法判決に介入できないという姿勢を貫いてきた。ただ、韓国政府がこれから起きる訴訟も含め、原告に補償する制度をつくれば、訴訟利益は失われる。日本の輸出管理措置の解除と事実上バーターにすれば、文政権としても「自らの政治理念を犠牲にして、韓国企業を守った」という見えを切ることはできる。現金化の日が迫れば迫るほど、日韓関係の混乱を憂慮する声は高まるため、ギリギリの局面という舞台が整えば、こうした政治決断を下しやすくなる。

 実際、文政権は日韓外務局長協議に進展がないことに危機感を募らせ、20年夏ごろから朴哲民(パクチョルミン)大統領府外交政策秘書官(当時)をたびたび、日本に派遣して秘密協議にあたらせてきた。


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