また同じように大きな胸びれをもつホウボウは、胸びれの一部が指のように分かれて自由に動かすことができます。そしてこれを器用に動かして、海底を歩いたり、砂の中にいるエサを探し出したりしています。まるでレーダーのようなとっても便利なひれですよね。

 またミノカサゴも大きな背びれと胸びれを持っていますが、こちらは飛ぶことも歩くこともできません。その代わりに背びれに毒を持っていて、刺されると電気が走ったような痛さで、その後刺されたところが腫れてきて、ひどい時には呼吸困難にまで至るそうです。ミノカサゴの大きくてひらひらと派手なひれは、「近づくと危ないよ!」とアピールして自分の身を守っているんですね。

 このようにひれに毒をもつ魚は、他にもアイゴやゴンズイなどたくさんいますので、釣りやダイビングをされる方は、事前に知っておいた方がいいですね。

 ちょっと変わったところでは、チョウチンアンコウは鼻先に疑似餌のようなものをヒラヒラさせて餌となる魚をおびき寄せていますが、あれって実は背びれの一部を細長く進化させたものなのです。いわばひれを釣り竿に進化させたということでしょうか。

 このように、魚たちにとってのヒレは、泳いだりバランスをとったりと、我々人間にとっての手足と同じく、日常生活を送るうえでの基礎となる非常に重要な役割を担っています。また常に動かしていますので、それを動かす筋肉も非常に発達しています。

 その筋肉の代表的なものが、カレイやヒラメのえんがわと呼ばれる部分です。

 えんがわは、一匹から取れる量も限られているので、とても貴重なネタで、くら寿司でも常に人気上位に入る安定の人気のネタです。しなやかさのある歯ごたえとうまみのつまったおいしさをぜひ体験してみてください。

○岡本浩之(おかもと・ひろゆき)
1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2019年11月から、執行役員 広報宣伝IR本部 本部長

AERAオンライン限定記事

著者プロフィールを見る
岡本浩之

岡本浩之

おかもと・ひろゆき/1962年岡山県倉敷市生まれ。大阪大学文学部卒業後、電機メーカー、食品メーカーの広報部長などを経て、2018年12月から「くら寿司株式会社」広報担当、2021年1月から取締役 広報宣伝IR本部 本部長。

岡本浩之の記事一覧はこちら