ストレスで脳はダメージを受けるが、ストレスを取り除けば回復させることができる(3D illustration:kucci/写真:写真部・高橋奈緒)
ストレスで脳はダメージを受けるが、ストレスを取り除けば回復させることができる(3D illustration:kucci/写真:写真部・高橋奈緒)
AERA 2020年11月16日号より
AERA 2020年11月16日号より

 コロナ禍で変化したコミュニケーションの形。外出しづらく不安になりがちな今こそ、その本質や人間関係を見直すことで心の安定に努めよう。AERA 2020年11月16日号から。

【心の安定に有効な 西田式「心トレ」アドバイスはこちら】

*  *  *

 コロナ禍で人間同士のコミュニケーションの形態が大きく変わりつつある。これまで「人と人との距離は近いほど良い」が当たり前だった。しかし、いまは正反対だ。実践コミュニケーショントレーナー・西田弘次さん(55)の元には、ソーシャル・ディスタンス下の人間関係に悩む学生、社会人からの相談が後を絶たない。どうすれば「人と物理的距離を保ちながら、心の距離を近くできるか」と多くの人が悩んでいる。

 西田さんは、大前提としてコロナショックは日本だけでなく世界が直面している非常事態であり、まずは社会を渡る上で「良いことも、悪いこともある」と、割り切って受け入れることが必要だと考えている。

「確かに新型コロナは未知のウイルスで、特効薬やワクチンもまだありません。ただし、はっきりしているのは『いつか終息する』ということです。それに、人間のコミュニケーションの本質が、コロナによって劇的に変わることはありません。答えのない時代と言われるが、私はすでに答えはあると思っています」

 大手旅行会社で働く営業職の男性(35)は、「人と接することが大好きで営業という仕事を選んだ。これまで対面営業を続けてきたが、突然デジタルになり、どうしていいか困惑している」と相談を持ちかけた。

 西田さんは、コミュニケーションがうまくいかない理由は、多くの場合、コロナとは別にあると考えている。アナログでうまくやれている人は、デジタルでもうまくやれているからだ。つまり、コミュニケーションがうまくいかないのは、コロナ禍やデジタル化が問題の本質ではないというのだ。

「大切なのは、相手の立場に立ち、普段から気持ちのこもった言動を心がけているかどうか。まずは自分を振り返ってみることが大切です。その上で、デジタルとアナログの特徴を整理してはどうですか」

次のページ