全店一斉休業でも黒字に 塚田農場のキーマンが語る「空気を読まず責任から逃げない」理由 (1/3) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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全店一斉休業でも黒字に 塚田農場のキーマンが語る「空気を読まず責任から逃げない」理由

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中原一歩,深澤友紀AERA
エー・ピーホールディングス取締役執行役員 野本周作さん(42)/3月31日、「塚田農場」の全店一斉休業を社長に提案。同僚や部下に言葉ではっきり指示を出し、責任を引き受ける覚悟を決めた(撮影/写真部・張溢文)

エー・ピーホールディングス取締役執行役員 野本周作さん(42)/3月31日、「塚田農場」の全店一斉休業を社長に提案。同僚や部下に言葉ではっきり指示を出し、責任を引き受ける覚悟を決めた(撮影/写真部・張溢文)

東京パラリンピック内定選手 鈴木徹さん(40)/山梨市出身。SMBC日興証券所属。高校卒業前に事故で右足ひざ下を切断。義足の走り高跳びで東京パラリンピックに出場が内定(撮影/写真部・東川哲也)

東京パラリンピック内定選手 鈴木徹さん(40)/山梨市出身。SMBC日興証券所属。高校卒業前に事故で右足ひざ下を切断。義足の走り高跳びで東京パラリンピックに出場が内定(撮影/写真部・東川哲也)

 コロナ禍により多くの経済活動や社会活動が停滞し、先行きの見えない不安が世界を覆っている。そんな逆境にあって、真っすぐ立ち向かえば自分が折れてしまいそうな危機をどう乗り越えていけばいいのか。AERA 2020年11月16日号から。

【写真】東京パラリンピック内定選手、鈴木徹さん

*  *  *
 居酒屋「塚田農場」などの飲食店や食品販売を手がけるエー・ピーホールディングス取締役執行役員の野本周作さん(42)は、志村けんさんの死去が公表された3月30日を忘れない。

 街から人影は消えひっそりとしていた。深夜、普段は寡黙なある店舗の調理責任者からケータイに着信があった。

「人が外を全然歩いていません。このまま開け続けるのですか」

 実はこの時点で、同社は2期連続の赤字だった。旗艦店である「塚田農場」の売り上げ低迷が深刻で、一昨年の消費者庁による景品表示法違反(優良誤認)の措置命令も痛手だった。もし、3期連続で赤字が確定すれば、上場廃止になる可能性すらある。

 そんな会社存続の危機に、「塚田農場」の統括責任者になった。入社1年での異例の抜擢だった。使命は今期の黒字化。その達成が見えてきた最後の1カ月で、新型コロナウイルス騒動が起こった。

 年度末最終日となる翌朝、社長にある提案をする決断をした。業界初の「全店一斉休業」だ。

「3月に入り売り上げは前年比65%まで落ち込んでいました。それでも頑張れたのは、会社を存続させたいという気持ちと、食材を提供してくれる自社農家など生産者の生活を守ろうという現場の気持ちがあったから。年度の黒字は見えたが、食を通じた社会貢献を目指す会社が、クラスターの温床になって感染を拡大させていいのか。その思いが決定打になりました」

 いちはやい休業の決断に、業界の多くの会社が右に倣(なら)った。

 当初は3週間の予定だった休業は2カ月に及んだ。その間、本社移転、各店舗の家賃交渉、徹底した費用の見直しなど固定費削減に努め、損益分岐点を下げた結果、外食需要が完全には戻らなくても黒字にできる経営体質になった。決算は、前年度は無事黒字で着地した。


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