アリアナ・グランデさん(gettyimages)
アリアナ・グランデさん(gettyimages)

「分断」か「統一」かを問う米大統領選挙は、未曽有の投票率を記録する中、民主党のバイデン候補がリードし、その鍵は10~20代の若者が握っていた。米大統領選の若者の動向などに注目したAERA 2020年11月16日号の記事を紹介する。

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 バイデン陣営が新型コロナウイルスの感染を避けるため、大型の集会を開かなかった一方で、若者に人気のミュージシャンがSNSを使い「投票しよう」と訴えたのは、絶大な効果があった可能性がある。人気歌手のビリー・アイリッシュさんは今年9月の「有権者登録デー」にビデオで「この選挙はとてつもないインパクトがある。今年400万人が18歳(の投票年齢)になる。あなたたちの声は大切。それを行使しよう」と訴えた。

 8700万のツイッターフォロワーに影響を与える歌手テイラー・スウィフトさんも投開票日前夜につぶやいた。

「明日はあなたの声を届ける、そしてあなたの票を集計させる最後のチャンス。マスクをして投票を楽しんで」

 スウィフトさんは、「オンリー・ザ・ヤング」という曲を政治広告に使うことを初めて、バイデン陣営に許可した。

「♪私たちが行動しないとダメ 彼ら(訳注:大人、旧世代)は過去のことと思っている でも始まったばかり たった一つのことが私たちを救う 若者だけができる」(筆者抄訳)

 人気歌手アリアナ・グランデさんも、テレビに出演し、危機感をあらわにした。

「両候補とも、ストレート(異性愛者)な白人の高齢男性が出馬しているけど、多様な美しい人びとで構成されているこの国でどうやって、この国を正しくしていけばいいの?」

 米国の若者は、従来に増して、多様な人種や同性愛者などと学校などで接し、多様性は当たり前のことと思っている。二大政党の米国を代表するのが、「白人・高齢・男性」の2候補でいいのかという若い世代の切実な訴えだ。

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