■若者票の掘り起こし

 しかし、少なくとも民主党は、若者層の票を掘り起こす戦略も今年は果敢に導入した。今年1月に取材した民主党ウィスコンシン州本部のトランプ対策部長フィリップ・シュルマン氏によると、今年初めての試みとして、大学4年生をメンバーとする「オーガナイジング・コア」というチームを形成。30人ずつ2週間にわたり、選挙区対策のコースを提供し、終わると有給で選挙区に投入するプロジェクトだ。戸別訪問や電話作戦のコツ、若いボランティアの生かし方をたたき込み、特に若者層に対し、より効率的な選挙運動を展開するためだ。

 同州は2016年、クリントン候補が僅差(きんさ)で敗れた激戦州の一つ。若者だけではなく、16年にトランプ氏に投票したが今年はバイデン氏を選ぶ有権者の掘り起こしには、17年から投資し続けてきた。同州は今年、バイデン氏が勝利し、その投資は報われたといえる。

 しかし、史上最高齢、白人、男性というバイデン氏は、若者にとって「玉にきず」どころではなかったことは確かだ。

 11月5日(米東部時間)時点での開票は、「ネイル・バイティング(爪を噛む)」と英語でいう落ち着かない状況が続いている。米メディアもバイデン陣営も「勝利に王手」とし、全米の開票状況は90%に達したものの、激戦州であるペンシルベニア州、西部ネバダ州、南部ノースカロライナ州の大都市部で郵便投票の集計に時間がかかり、いつ集計結果が出るかは数時間ごとの州の選挙管理当局のレクチャーで推測するしかない。6日早朝の時点でジョージア州の開票率は99%。バイデン氏がリードしている。

■1日の感染者10万人

 バイデン氏は投開票日夜から3回にわたり、支持者のために声明を出した。

「私はアメリカの大統領になる」「民主主義は時には混乱もあるが、最後の一票まで集計される」「落ち着いて過ごそう。忍耐強く結果を待ってくれてありがとう」

 トランプ氏はツイートした。「集計をやめろ」

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