早くもトランプ陣営は、ペンシルベニア、ミシガン、ジョージアの3州での開票作業における「不正」があったと主張し、集計中止を求めて提訴を行った。さらに、ウィスコンシン州では再集計を要請した。さらにネバダ州と南西部アリゾナ州でも集計中止を求める提訴を準備していると米メディアが伝えた。

 一方で、新型コロナウイルスの1日の感染者数は4日、10万人を突破した。累計で1千万人に達するのは目前で、大統領選挙の混乱が去ったとしても、新型コロナとそれによって生じる経済停滞は、来年以降も米社会を蝕(むしば)むのは確実だ。社会的不安が米国を覆う。

 08年選挙では、オバマ候補(当時)が黒人を始め人種マイノリティーを投票所に向かわせた。今年は、70歳代対決となったものの、若者が「山を動かす」役割を果たそうとするなど、選挙の構造で「チェンジ」が起きるのが米国だ。アリアナ・グランデさんが訴えるように、若者にとって米大統領候補は女性、同性愛者というのは当たり前だ。そうした候補者を打ち出せるのか、米二大政党に対する大きな課題が残された。政党は目覚めるのか、どうか、将来の勝負の分かれどころだ。(ジャーナリスト・津山恵子(ニューヨーク))

AERA 2020年11月16日号より抜粋