考えが変わったのは、この1、2年です。#MeToo運動で世間の風向きが変わった頃、コラムニストのジェーン・スーさんや作家の山内マリコさんと知り合いました。話をするうちに、性差別はどこの業界にも存在し、社会全体の構造の問題だと気づきました。

 そこからフェミニズムのことを積極的に学び、自分でも活動しようと考え始めました。

 私は、性差別はたばこと同じだと思うんです。昔はオフィスでもどこでも吸えました。でも、いろんな人が声を上げ、規制も増え、今では吸うことへの風当たりが相当キツくなった。性差別も、フェミニズム運動を加速することで、差別をする人のほうが恥ずかしいとみなされる世の中になると思います。

 ただ、家庭の問題にジェンダーを持ち込むと、「男」と「女」の代理戦争になってしまう。だから、家では「社会ではこれが主流だから」とか「男だから」「女だから」という言い方はしないようにしています。夫婦で意見が違っても、「男女の違い」では終わらせない。育ってきた環境が違う個人対個人として、一つひとつ丁寧に粘り強く話し合うしかない。家事育児の分担が常に5:5じゃなくても、その都度修正していけばいい。子どもにも、「今お父さんとお母さんはこういう状況だからこうしている。男だから女だからじゃないんだよ」と説明することが、性差別を再生産しないために重要だと思います。

(構成/編集部・石臥薫子)

AERA 2020年11月2日号