「愛の不時着」のヒョンビン。アンケートでは「完璧なルックスや紳士的な態度が魅力」との声が多く集まった/Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中
「愛の不時着」のヒョンビン。アンケートでは「完璧なルックスや紳士的な態度が魅力」との声が多く集まった/Netflixオリジナルシリーズ『愛の不時着』独占配信中

 ツンデレラブコメから切なさ満点のヒューマンドラマまで。その振れ幅で、愛しさと切なさを堪能する夢のような沼時間。「愛の不時着」への道をコンプリートしたら、何が見えた?AERA 2020年8月10日-17日合併号でコラムニスト・矢部万紀子氏が綴る。

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 らりりりりりりーららー、らりりりりらー。と、これが「シークレット・ガーデン」。

 りり、らりーれりらーら。と、これは「彼らが生きる世界」。

 こんな感じで、鼻歌を口ずさむ。合間に押し寄せてくるのは、胸いっぱいの切なさ。「チング~愛と友情の絆~」のヒョンビンが心に迫る。振り払うように脳内で反芻するのが「愛の不時着」のテーマ。「るるるI feel your everything,everything」。

 と、こんな日々を送っているのは、ヒョンビン主演ドラマ9本をコンプリートしたから。「愛の不時着」視聴終了から2カ月、ヒョンビン沼に居を構え、過ごした計1万98分。時間に直せば168時間超だけど、あっという間だった。だってヒョンビンだから。可愛かった若き日からたくましさを増し、リ・ジョンヒョクへ至る道。夢のような沼時間。

 さて、ここで問題です。あなたはどちらでしょう。【A】「愛の不時着」後、同じネットフリックスの「梨泰院(イテウォン)クラス」が面白いと知り、すんなり梨泰院に出かけた。【B】ヒョンビンがいないなら梨泰院には行きたくないと、ヒョンビン探しの旅に出た。【B】の皆さま、ヒョンビン沼へようこそ。新人ながら9本を完走したものとして、私なりに「沼の歩き方」をご報告いたします。

 まずは、ヒョンビン沼の特徴から。(1)明るさと切なさが交互にやってくる。(2)すべての道は、「愛の不時着」に通ず。

 完走してわかったのが、視聴後の感慨の振れ幅の大きさだ。そこが楽しみでもあるけれど、注意が必要なところでもある。明るいヒョンビンはニコニコ思い返せるが、切ないヒョンビンはやたらと尾を引く。最終話で「はい、終了」とならない。

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矢部万紀子

矢部万紀子

矢部万紀子(やべまきこ)/1961年三重県生まれ/横浜育ち。コラムニスト。1983年朝日新聞社に入社、宇都宮支局、学芸部を経て「AERA」、経済部、「週刊朝日」に所属。週刊朝日で担当した松本人志著『遺書』『松本』がミリオンセラーに。「AERA」編集長代理、書籍編集部長をつとめ、2011年退社。同年シニア女性誌「いきいき(現「ハルメク」)」編集長に。2017年に(株)ハルメクを退社、フリーに。著書に『朝ドラには働く女子の本音が詰まってる』『美智子さまという奇跡』『雅子さまの笑顔』。

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