「同じ上高地周辺では1998年にも群発地震が3カ月近く続きました。今回の群発地震はその時と比べすでに1.3倍近いエネルギーを放出しているので、今の群発地震も間もなく収束するのではないかと見ています」

 近年、日本各地で不気味な地震が頻発している。

 日本列島は北米プレート、太平洋プレート、ユーラシアプレート、フィリピン海プレートの四つのプレート上にある。このプレート同士の反発やひずみが、巨大地震を引き起こしてきたが、いつどこで起きるのかわからないのが災害列島の怖さだ。

 一体どこで多く揺れているのか。見極めるために編集部では、気象庁の「震度データベース」と「地震・火山月報」をもとに、都道府県別に2011年1月から今年6月25日までの約9年半で震度1~7の地震が起きた「地震合計回数」を集計した。

 もちろん面積が広い自治体の方が地震に遭遇するケースは増えるので、単純比較できない。だが、様々な傾向や特徴が見えてくる。

長野と岐阜に群発地震

 まず気がつくのが、東日本で圧倒的に地震が多いということだ。東日本大震災(11年)の影響も大きいが、この期間に限っていえば、最も揺れが多かった福島県(7337回)と最も少なかった富山県(158回)とでは、約46倍の差があった。震度4以上の地震も東日本に多いことがわかる。日本は“地震大国”と言われても、地域によってこれだけの差があることがわかる。

 また、16年に「本地震」が起きた熊本県は11年からの9年半の間に4706回の地震があり、周辺と比べても突出して揺れていることがわかる。

 今年の6月25日までの約半年間で地震が多い都道府県では、例えば、最も揺れているのは、冒頭で紹介した群発地震が続く長野県(164回)で、岐阜県(162回)は第2位だ。

 立命館大学環太平洋文明研究センターの高橋学特任教授(災害リスクマネジメント)によれば、いま各地で起きている揺れは、東日本大震災で太平洋プレートに押され北米プレートが跳ね上がり4枚のプレートのバランスが崩れ、それが元に戻ろうとして起きているという。

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