世界中が新型コロナウイルスに襲われ、経済活動が急失速した。歴史に残るこのパンデミックは、世界経済にどんな影響を与えるのか。小中学生向けのニュース月刊誌「ジュニアエラ」7月号で解説した。

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――東京五輪が延期になったり、さまざまなイベントも中止になったり。休業中のお店ばかりの街を歩きながら、お父さんやお母さんは「経済は大丈夫かな」って言ってたけど、どういうこと?

 経済というのは、わたしたちの暮らしのもとになっているもので、お金に関係することだと思えばいいかな。生きていくにはお金が必要だね。お金は、他人が必要とするモノを作ったり、サービスを提供したりする対価としてもらえるものだ。そしてそのお金で別のモノを買い、サービスの提供を受ける。お金はぐるぐる回っているんだ。

 たとえば君がおこづかいでおもちゃを買うと、そのお金は商品を製造するメーカーにも支払われ、社員の給料や商品の材料購入費として使われる。商品の材料を製造する会社にも君のお金は届き、一部が社員の給料にもなる。社員が買い物をすれば、また別のお店や会社へと君のお金は移動していく。それだけでなく、おもちゃの代金には消費税も含まれているので、税金も払っていることになる。みんなが払ったお金は世の中をぐるぐる回って、それぞれの生活を支えているんだ。

 人々がモノやサービスをたくさん必要とする世の中なら、回るお金は多くなる。経済が活発になるとか景気がいいというのはこの状態だ。でも、新型コロナウイルスの感染が拡大していると、人々は怖くて外出しなくなるし、政府も外出しないよう求める。店は閉まっているし、イベントもないとなると、お金をあまり使わなくなるよね。そうすると、回るお金が少なくなり、景気が悪いという状況になる。多くの人の収入が減る。借金を返せなくなって仕事が続けられなくなる人も出る。つまり、社会全体が貧乏になっていくんだ。今のような状況だと、そうなるんじゃないかと心配しているんだよ。

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一色清
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