そこで、総務や人事と連携し、これまで一部あいまいだった社内申請のワークフローを明確化。「この書類は、そもそも誰に見てもらう必要があるのか」という根本から整理しなおした上で電子化することで、ぐっと手続きがスムーズになる。今後は11月までに、経費精算や請求書の処理など、ペーパーレスの範囲のさらなる拡大や、印鑑の電子化などを進めていく予定だ。

 同社以外にも、今回の事態を機に、サントリーやGMOなど「脱ハンコ」へと取り組みを進める企業が相次いでいる。

 freeeが4月に中小企業を対象に実施した調査によると、テレワークを導入しながらも「ほぼ毎日出社しなければいけない」と回答した人は16.3%、「週に2、3回程度」も21.6%に上った。

 理由を見ると「取引先から送られてくる書類の確認・整理作業」(38.3%)や「請求書など取引先関係の書類の郵送業務」(22.5%)、「契約書の押印作業」(22.2%)と、いかにハンコや書類作業といった慣習が、テレワークの妨げになっているかがわかる。

 ニューノーマルは、様々な意味で今までの「当たり前」が通用しない。頭を柔らかく、従業員とともに果敢に次の道を選び取れる企業だけが、この先の未来を進むことができるのだ。(ライター・市岡ひかり

AERA 2020年6月22日号より抜粋