「カルテをデータベース化できれば」 オンライン診療が示す遠隔医療の課題と可能性 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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「カルテをデータベース化できれば」 オンライン診療が示す遠隔医療の課題と可能性

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井上有紀子AERA
オンライン診療なら、通院せずにスマホなどで医師の診療を受けることができる(写真:メドレー提供)

オンライン診療なら、通院せずにスマホなどで医師の診療を受けることができる(写真:メドレー提供)

 期間限定で全面解禁されたオンライン診療。ニーズの高まりから今後、多くの医療機関が導入するとみられる。だが、遠隔医療を見据えると、新たな課題が浮かび上がってきた。AERA 2020年6月1日号の記事から。

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 5月初旬に受診の目安が見直されるまで、発熱が37.5度や4日間に満たないとして、保健所から専門外来を案内してもらえないケースも多かった。こうした現場に「オンライン診療を導入していたら」と、日本遠隔医療学会会長で鳥取大学の近藤博史教授は悔しがる。

「患者に症状の変化や体温を入力してもらう。その上で、医療関係者がオンラインで映像を見れば、ふらふらしている、肩で息をしているなど重症度がわかり、柔軟な対応ができたはずです」(近藤教授)

 一時的な規制緩和に、近藤教授は期待を寄せる。費用やITの知識がネックになり、導入を踏みとどまる医療機関も多いが、「ワクチンが開発され行き渡るまで数年は、一般の患者が受診をためらうと考えられます。多くの医療機関がオンラインを導入する流れになるでしょう」(同)。

 オンライン診療は遠隔医療の第一歩だ。課題はその後にある。医療機関の間での患者や症状の情報共有が進んでいないのだ。患者を別の病院につなぐ際、伝えられる情報量には限りがある。そこで期待されるのが、電子カルテの共有だ。だが、初診患者を診る診療所では、電子カルテ自体を導入していないケースもある。

「電子カルテですべてのデータを共有できれば、多様な症状がみられる新型コロナウイルス感染症の治療、研究に有効です。今は海外の文献から類推して診療しているのが実情です」(同)

 だが、近藤教授によると、「地域医療連携システムを使えば、この問題をクリアできる」という。同システムは、人口減少が進み、医師の少ない地域で、医療機関、薬局などが連携し、患者の情報を共有するもの。患者が同意すれば、電子カルテなどの情報を共有でき、緊急搬送された際や災害時にスムーズな診療が可能になる。

「ただ、現在の情報共有は地域内に留まります。国内の情報を一つにまとめられれば、効果的です」(近藤教授)

 北欧や英国では国内のカルテを一元的にデータベース化しているという。

「感染症への対応はスピードが重要です。日本でも初期症状からエビデンスを集めれば、治療の道が開けるはずです」(同)

(ライター・井上有紀子)

AERA 2020年6月1日号より抜粋


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