子どもについて謙遜する日本人、ベタぼめするアメリカ人 緊急事態宣言中こそほめる訓練を (2/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

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子どもについて謙遜する日本人、ベタぼめするアメリカ人 緊急事態宣言中こそほめる訓練を

連載「ここがヘンだよ日本の育児!」

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大井美紗子AERA#AERAオンライン限定
ストレスフルな毎日が続く。子育てではなるべくポジティブな言葉を心がけたい(写真/gettyimages)

ストレスフルな毎日が続く。子育てではなるべくポジティブな言葉を心がけたい(写真/gettyimages)

 なぜ日米でこのような違いが生まれるのか。日本人は子どもを自己の延長にあるとみなし、卑下するからだという意見も聞きますが、個人的には日米の親にそこまでメンタリティの差異があるとは思えません。日本人もアメリカ人も同じくらい子どもを誇りに思い、同じくらい悩みを抱えています。違うのは、コミュニケーションの作法です。日本人は子どもの話をするときは「下げる」ことが前提で、むしろ「いやいやそんなことはないでしょう」と相手が否定するまでが会話の形式になっている。他方アメリカでは「上げる」が基本で、たまに日本人的な「下げる」をやってしまうと、怪訝な顔をされます。コミュニケーションの作法から外れるからです。

 アメリカの人は、本当によく子どもを「上げ」ます。たとえば小学校に、その月に優秀な成績を収めた生徒を表彰する制度があるんですが、子どもが表彰されると「うちの子は今月の優秀者に選ばれたんです!」なるステッカーを車に貼る人がいます。SNSに投稿する人もいます。幼い子どもだけでなく、成人した子も手放しでほめます。結婚式のスピーチでは、花嫁のお父さんがこう言います。「世界一の女性と結婚できて、お前は世界一の花婿だぞ!」。日本だと「ふつつかな娘ですが、何卒よろしくお願いします」になるのではないでしょうか。

 結婚後も、アメリカ人の身内上げは続きます。義母にうちの子(つまり義母にとっての孫)はこんなことができてあんなこともできて、と報告すると、決まってこういう結論に落ち着きます。「父親も小さい頃から優秀だったからね」。──ま、それはいいんです、ひがんでなんかいません。ただ納得いかないのは、私の両親も夫を上げるってことなんです。「すごいね、父親ゆずりの才能だね」と。アメリカ人同士の夫婦だったら、実の親から「お前によく似たんだね」と浴びるようにほめ言葉を受け、日本人夫婦だったら義理の両親がほめてくれるのでしょう、きっと。でもアメリカ×日本の国際結婚である我々の間には、ほめ言葉の不均衡が起きています。アメリカ人は身内を上げ、日本人は下げるという文化のために。

 私の場合はいい大人なので、「日米でコミュニケーションのやり方が違うからなー。うちの親だって、孫が父親だけに似てると心から思ってるわけないよ、たぶん」と自分に言い聞かせることができますが、小さい子どもだとそうはいきません。親の言うことを言葉通りに受け取ってしまいます。言葉には力がありますから、日々「下げる」言葉を聞かせていると子どもの能力を本当に下げてしまうことにもなります。冒頭でお話ししたように私の子が食事中おしゃべりしてばかりなのは、「うちの子は食べるときおしゃべりしてばかりで」と常々口にしていたからなのでしょう。ですから、いくら謙遜が日本的な会話の作法だとしても、小さい子どもの前では例外にしたほうがいいんじゃないかと思うのです。

 休校休園、自宅待機が続く今は、子どもをベタぼめするチャンスです。人に会う機会が減ってしまったのは寂しいですが、そのぶんコミュニケーションの作法にとらわれることなく、思う存分子どもをほめることができます。何もかも落ち着いてまたママ友ランチ会ができるようになったとき、躊躇せず子どもをほめることができるようになっていたい。今の自宅待機はそれまでのレッスン期間なのだと自分に言い聞かせ、子どもを手放しでほめる毎日です。

◯大井美紗子
おおい・みさこ/アメリカ在住ライター。1986年長野県生まれ。海外書き人クラブ会員。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi

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大井美紗子

大井美紗子(おおい・みさこ)/アメリカ在住ライター。海外書き人クラブ会員。1986年長野県生まれ。大阪大学文学部卒業後、出版社で育児書の編集者を務める。渡米を機に独立し、日経DUALやサライ.jp、ジュニアエラなどでアメリカの生活文化に関する記事を執筆している。2016年に第1子を日本で、19年に第2子をアメリカで出産。ツイッター:@misakohi

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