●うつぶせ遊びを取り入れる

「おすわりが好きなのは個性のひとつ」と言いましたが、ぜひうつぶせ遊びも取り入れてほしいというのが私の意見。保育所で見てきた、おすわりが好きな赤ちゃんの共通点は「うつぶせ遊びを積極的にしていない」ので、背中と首を上げる筋力がないこと。そして「嫌がって泣くのでかわいそう」と親が思っていること。「かわいそう」という気持ちはよくわかりますが、そんな赤ちゃんには意識的にうつぶせ遊びを取り入れてみましょう。

 うつぶせのときは、頭をグイっと上げますが、それが首の力、バランス感覚を養い、体幹を鍛えることにつながります。できることなら2カ月ごろにはうつぶせ遊びを少しずつ取り入れてほしいものです。

・顔が埋まらない硬めのマットなどの上で行う
・1日1回1分~スタート!
・赤ちゃんが泣き出してもグッとこらえて10秒待って終了

 まずは、本当に少しずつでOKです。うつぶせ遊びに慣れてきたら徐々に回数と分数を増やしていきましょう。5~6カ月ごろになると1日何回でもうつぶせ遊びにチャレンジです。

 月齢が低い時やうつぶせ遊びがまだ苦手な場合は、目を離すことはNG!そばを離れるときは仰向けにします。また、うつぶせ寝は、窒息や乳幼児突然死症候群(SIDS)の要因の一つなので、うつぶせ遊びの途中で寝たときは仰向けに戻します。

●おすわりの練習は必要?

 おすわりの練習は、する必要はありません。抱っこの時、授乳の時、離乳食の時、お風呂の時など赤ちゃんは親に支えられて座ることを1日のうちにたくさん経験しています。ですので、おすわりの練習はそれだけで十分。後は、うつぶせ遊びやコロコロと寝返りを楽しんでもらいましょう。うつぶせ遊びに慣れてくると、その場で回転したり、足を折り曲げて、おしりをポッコリ浮かせるポーズをしたりするようになります。そのうち、そのポーズのまま、ゆらゆら前後に身体を動かし自分で座れるようになります。赤ちゃん自身も「あ、座れちゃった」といった感じでしょう。大人が「座らせよう」と練習させるときは不安定なのに、自分で座れるようになると不思議なことに安定します。親に支えられて座ることで座る感覚を身につけ、うつぶせで前後に身体を揺らしたりしてバランス感覚を養っていたのでしょうね。「こっちに足を持ってきて手はこっちで」なんて教えてもいないのに自分でできるようになる赤ちゃんの能力には本当にびっくりします。

 目安の月齢になっているのに、おすわりができないと不安に感じてしまうかもしれませんが、今はできなくても大丈夫。うつぶせ遊びなどを取り入れているうちに、いつの間にかできるようになるので焦らず見守りましょう。(文/中田馨)

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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