3月27日朝、東京・丸の内は通勤客がまばらだった。JR東京駅前の横断歩道を渡る人たち (c)朝日新聞社
3月27日朝、東京・丸の内は通勤客がまばらだった。JR東京駅前の横断歩道を渡る人たち (c)朝日新聞社
3月25日夜の緊急記者会見で「感染爆発 重大局面」と示す東京都の小池百合子知事。週末の外出自粛を要請した (c)朝日新聞社
3月25日夜の緊急記者会見で「感染爆発 重大局面」と示す東京都の小池百合子知事。週末の外出自粛を要請した (c)朝日新聞社

 爆発的な感染拡大が危惧されるなか、「首都封鎖」もまったくの絵空事ではなくなってきた。本当に起こり得るのか、防ぐ手立てはあるのか。AERA2020年4月6日号から。

【写真】緊急記者会見で「感染爆発 重大局面」と示す東京都の小池百合子知事

【「持ちこたえている」から一転 五輪延期翌日に「感染爆発」 ちぐはぐな対応が招いた混乱】より続く

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 都市の封鎖にはオーバーシュート(患者の爆発的急増)が前提だ。東京のような大都市ではオーバーシュートが起こる危険性は高まるが、東京都が公表している感染動向からは、2月中旬から徐々に確認され始め、3月中旬以降は特に目立ち始めたことがわかる。

 起きるとすれば、どのように起きるのか。医療ガバナンス研究所の上昌広理事長は指摘する。

「感染集団によるクラスターで増えるという説もありますが、全体で見れば、雪だるま式とも言えるような指数関数的に増えるというのが公知の事実です。スーパースプレッダーのような人がいるのは事実ですが、そこを管理するだけでは対策にならない、と世界の多くの識者は考えています」

実際に、オーバーシュートは起きるのか。専門家でも意見は分かれるようだ。感染症に詳しい浜松医療センター(静岡県)の矢野邦夫副院長は次のように指摘する。

「個人的な考えではありますが、ヨーロッパのようにはならないと考えています」

 それは、次のような理由からだという。

「コロナの感染源は本人の手だと思われ、手洗いが不十分だと感染しやすい。手に病原体がついても目や鼻をこすらなければ感染しませんが、いずれにせよ手洗いが大切です。日本人は結構神経質で手洗いをするし、マスクだってする。握手や、公衆の面前でのハグ、キスも習慣にないので、そのような理由からヨーロッパのようにはならないと思います」

 一方、国際医療福祉大学の和田耕治教授(公衆衛生学)はこんな考えだ。

「実際に海外で起きているわけですから、夢物語ではありません。大規模クラスターが発生すると一気に広がります。毎日、『今日起きなくてよかった』と思って寝るけれども、明日はわからない、というのが現在の状況だと考えています」

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