「先にダメなものから言ってもいいですか? 社員持ち株会などで、勤務先の企業の株を買うことです。もし会社が傾いたら給与収入と財産の両方を一度に失います」

 いっそのこと、ライバル会社の株を買ったほうがリスク回避になるという。

「給与も円、貯金も円なわけですから、他国に投資するのが有効なリスク分散で、手堅そうなのは米国。手元の資金が少ないなら投資信託もいいですが、個別株なら10年後に絶対つぶれていないと思う企業を」

 具体的には、スターバックスやウォルト・ディズニー、アマゾンのような企業。スマホで世界を席巻したアップルは10年後も勝ち残っているだろうが、IT企業の株価は割高になりがちだ。鉄道会社など昔からある企業のほうが株価は落ち着いている。

「初心者は、ちょっと値上がりしたらすぐ売ってしまいます。でも、10年後、20年後のために投資しているのですから、途中の上がり下がりはどうでもいいことです」

 最後に、テスタさんはこう言った。

「銀行にお金を何十年も預けている人は、それだけで損をしています。僕が子どもの頃、『週刊少年ジャンプ』は170円でした。今では290円です。すべてのモノが長期的には値上がりしますが、預貯金では物価の上昇分を埋めることはできませんから」

(構成/大場宏明、伊藤忍)

※アエラ増刊『AERA Money 今さら聞けない 貯金の基本』の記事に加筆・再構成