控訴審判決の前、北原みのりさん(中)ら支援者たちがメッセージを手に名古屋高裁の前に並んだ/3月12日、名古屋市中区で (c)朝日新聞社
控訴審判決の前、北原みのりさん(中)ら支援者たちがメッセージを手に名古屋高裁の前に並んだ/3月12日、名古屋市中区で (c)朝日新聞社
性暴力をめぐる出来事(AERA 2020年3月23日号より)
性暴力をめぐる出来事(AERA 2020年3月23日号より)

 名古屋高裁が実の娘に性的暴行を加えた父親に逆転有罪判決を出した。性暴力に抗議し、被害者の痛みを分かち合うフラワーデモの参加者らにとっても、この判決は大きな意味を持った。AERA 2020年3月23日号の記事を紹介する。

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「本当によかった」
「ほっとしました」

 裁判所から笑顔で出てきた北原みのりさん(49)や山本潤さん(46)たちを、花やプラカードを手にした人たちが拍手で迎えた。

 この日、名古屋の裁判所前に約40人が立って、フラワーデモをした。

 作家の北原さんは、東京でフラワーデモを最初に呼びかけた一人。山本さんは、13歳から父親に性的虐待を受けた当事者で、今は被害者団体Springの代表理事をしており、フラワーデモに参加してきた。

 3月12日、名古屋高裁は、19歳だった実の娘に対する二つの事件で準強制性交罪に問われた父親(50)に、求刑通り懲役10年の判決を言い渡し、一審の無罪判決を覆した。

 一審の無罪判決は、娘が中学2年生の頃から意に反した性行為が繰り返されてきたこと、それが耐え難い性的虐待であり、娘は抵抗する意思・意欲を奪われた状態にあった、ということは認めていた。

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