僕自身が文章を書くときは、10分の1ぐらいは独善的になる必要があると思っているんです。人の顔色を見ないで言い切っちゃう部分が、10分の1ぐらいあってもいい。その10分の1の迷いのなさが、その人の味になるような気がします。それをツイッターでやると、140字しかないから炎上するんですが、1千字ぐらいあったらそのうちの100字ぐらいは、周りを見ないで「私はこう思う」って書いちゃう。

 独善的になるためには、日記帳なり手帳なりに、文章を書くことをおすすめします。自分だけに聞かせる文章を。僕も学生の頃からずっと日記を書いてきました。他人と会話をすることがとても苦手だったのです。どうも僕の言うことが相手に全く響いていない、ポカーンとされることが多かったんですね。そもそも人見知りで話せなかったし。それが日記帳相手だと自己対話ができる。同じ「腹減った」でも、日記に書くのとツイッターに書くのでは違います。

 ふたご座は、自己採点能力が異常に高い人たちです。いろんな言い回しを考えてしまうし、自分が出した表現が60点であることが、自分でわかってしまう。みずがめ座もそういうところがあります。だから、「誰に向けて書くか」をはっきりさせたほうがいいです。みんなが読むだろうと思って、優等生みたいに書こうとすると、書けなくなる。そしてみんなに届けようとする文章ほど、誰にも届かなくなってしまう。

 この人にだけ届いてくれたらオーケー、と誰かの顔を思い浮かべながら書いてみてください。

AERA 2020年2月24日号

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しいたけ.

しいたけ.

しいたけ./占い師、作家。早稲田大学大学院政治学研究科修了。哲学を研究しながら、占いを学問として勉強。「しいたけ. 公式サイト」では月刊占いやコラムを連載中。 https://shiitakeofficial.com/

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