返金されるはずの入居一時金はどこに消えた? 相次ぐ介護施設倒産の実態 (1/2) 〈AERA〉|AERA dot. (アエラドット)

AERA dot.

返金されるはずの入居一時金はどこに消えた? 相次ぐ介護施設倒産の実態

このエントリーをはてなブックマークに追加
大西洋平AERA#シニア
老人福祉・介護事業の倒産が急増(AERA 2020年2月17日号より)

老人福祉・介護事業の倒産が急増(AERA 2020年2月17日号より)

介護職種の求人倍率は高まる一方(AERA 2020年2月17日号より)

介護職種の求人倍率は高まる一方(AERA 2020年2月17日号より)

介護サービス従業員はこんなに不足(AERA 2020年2月17日号より)

介護サービス従業員はこんなに不足(AERA 2020年2月17日号より)

 介護施設の倒産問題が波紋を呼んでいる。介護人材不足や介護報酬の縮小などが経営を圧迫、正規職員の賞与が支払えず最終的には倒産してしまうケースが相次いでいるという。AERA 2020年2月17日号では介護現場の経営難の実態を紹介する。

【図を見る】介護職種の求人倍率はこんなに高くなっている

*  *  *
 超高齢社会の日本において、衝撃的な数字だった。

 今年1月に東京商工リサーチが発表したレポートによれば、昨年1年間に倒産した介護事業者の数は過去最多だった2017年と同じ111件に達した。しかも、2016年から4年連続で100件を突破しており、一時的な現象ではないことが明らかだ。倒産した事業者の内訳を見ると、訪問介護が最多の58件で、通所(デイサービス)・短期入所(ショートステイ)が32件、主に民間企業が運営している有料老人ホームが11件。その他が10件となっているが、公的施設として重度の要介護者を受け入れる特別養護老人ホーム(特養)も含まれている。

 その背景について、介護・福祉コンサルタントの高山善文さん(53)は次のように指摘する。

「65歳以上の人口は拡大しているものの、あくまで元気な高齢者も含めた数です。要介護認定者はその18%程度にすぎず、介護サービスへのニーズは都市部に偏在している。加えて、国が3年ごとに改定する介護報酬は減少の一途を辿っています」

 つまり、主に都市部において限られたパイを奪い合う一方で、地方の施設では需要が限定的となっているのだ。介護保険の財源が血税と保険料である以上、事業者の儲けすぎを抑止するため、国としては介護報酬を引き下げざるをえないのだろう。だが、結果的に事業者の経営を圧迫している。

 大手が都市部で運営する一部の高級有料老人ホームは好調だが、「それは例外だ」と高山さんは言い、こう続ける。

「富裕層をターゲットとする高級有料老人ホームは、保険適用以外の部分において、大きく価格を上乗せして設定することが可能だからです。これに対し、大多数の事業者は中間層から低所得者層を対象とし、国が定めた介護報酬分の収入しか得られていないのが実情といえます」

 さらに、十分な人手を確保できないことが経営難に拍車をかけている。日本全体でも空前の人手不足が取り沙汰されているが、それ以前から深刻化していたのが介護ビジネス。すべての職種における有効求人倍率は18年に1.46倍だったが、介護関係の職種に絞れば約4倍まで高まっている。この業界にとっては、人材獲得難が経営に直結するという。


トップにもどる AERA記事一覧

続きを読む

おすすめの記事おすすめの記事
関連記事関連記事

あわせて読みたい あわせて読みたい