●なかなか歩かない子へのアプローチ方法

「焦らず見守る」ことが大切。とはいえ、やっぱり何かできればいいな!と思います。ここからは保育士も行っている「歩くカラダ」を作る遊び方を紹介します。

・ハイハイで追いかけっこ
 足腰の筋肉を強くするには、やぱり「ハイハイ」です。「歩かないから歩く練習をする」のではなく、歩く前段階の「ハイハイをたくさんして筋肉を強くする!」方が効果的です。赤ちゃんと一緒におうちをハイハイして追いかけっこしてみましょう。親がハイハイしながら「まてまて~」と赤ちゃんを追いかけ、捕まえる。ついでにおなかをコチョコチョ~。こんな遊びを取り入れてみましょう。親にとってもいい運動になります。

・箱を押して歩く
 用意するものは「箱」。おもちゃ箱や、頑丈な段ボールでも何でも構いません。赤ちゃんが箱を押して歩きます。「箱」を押して歩くことで、歩く時の足の運び方やバランスを身につけます。もちろん市販のカタカタでもOK。おもちゃ箱の場合、車輪がついていると箱が先に進んでしまい、転倒するので、車輪がない方が安全です。

・親子でペンギンさん
 親が膝立ちして赤ちゃんと向かい合い、両手を持ちます。そのままヨチヨチと歩きます。「イチニーイチニー」と声掛けしながら楽しく、歩く時の足の運び方やバランスを親と一緒に感じながら遊んでみましょう。歩けるようになってきたら、赤ちゃんの両足を親の足の両足の甲に乗せて歩くなどアレンジを加えると幼児期になっても楽しめます。

 以前、保育所にいたAちゃん。1歳4カ月でした。ハイハイをたくさんして、つかまり立ちも伝い歩きもよくします。身体の使い方も身体のバランスの取り方も上手。でも、最初の一歩がなかなか出ないので、お母さんが心配していました。そこで、外遊びの時におうちから持ってきている軟らかい布の靴ではなく、保育所の少し形がしっかりとしている靴に履き替えてみました。すると、外でどんどん歩く歩く! 歩く楽しさを知ったAちゃんは、その後部屋の中でも歩きはじめました。

 ほんの少しのきっかけで、赤ちゃんは急に「チャレンジしてみよう!」と思うこともあります。歩かないときは、歩かせることに集中するのではなく、歩くことに関係する周りからアプローチすることをお勧めします。(文/中田馨)

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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