政権の中枢は、効率を重視する「小さな政府」志向のメンバーが占める。EU離脱は、巨大な官僚組織が非効率なルールで加盟国を縛り付けるEUから逃れ、規制緩和を進め、競争力のある英国に生まれ変わるための手段に過ぎないと捉えているようだ。

 一方、新たな保守党支持層となった「ブルー・ウォール」の人々は、EUに流れている英国のお金が地方振興に回るはずだと信じる「大きな政府」志向の向きがある。離脱の先に、両者は正反対の国家像を描いている。

 連合王国としての英国を形成するスコットランドと北アイルランドで独立・分離熱が高まるおそれもある。特にスコットランドでは、独立を党是とするスコットランド民族党が議席を伸ばした。EU残留派が多いスコットランドの人たちが、離脱を強硬に推し進める保守党政権に反発を強める可能性もある。

 政権の真価が問われるのはこれからだ。(朝日新聞ヨーロッパ総局・下司佳代子)

AERA 2020年1月20日号より抜粋