4位 『檸檬』(9人)


■梶井基次郎『檸檬』
「青年期の焦燥に自分の悶々としていた境遇を重ね合わせ読んだ。突破口としての檸檬がたたえる柑橘系の明るさ、爽やかな香りが自分にとっても救いになった」(36歳男性・国語教員)

5位 『羅生門』『少年の日の思い出』(7人)
■芥川龍之介『羅生門』
「音や匂い、空気感までをも感じさせる文章表現に圧倒された」(20歳女性・大学2年生)

■ヘルマン・ヘッセ『少年の日の思い出』
「登場人物の気持ち、特に狡猾さなどの人間の汚い部分が共感できた。自分の心をえぐられるような感覚を覚えた」(32歳男性・教育関係)

7位 『故郷』(6人)
■魯迅『故郷』
<思うに希望とは、もともとあるものともいえぬし、ないものともいえない。
それは地上の道のようなものである。もともと地上には道はない。
歩く人が多くなれば、それが道になるのだ。>

「授業で徐々に“表現に秘められたメッセージ”を読み解くことができて興奮した。最後の一文が『作者から当時の中国を生きる人々へのメッセージ』だったと思うと感動で胸がいっぱいになった」(18歳女性・高校3年生)

8位 『永訣の朝』『山椒魚』『平家物語』『源氏物語』(5人)
■宮沢賢治『永訣の朝』
<Ora Orade Shitori egumo>

「『おら おらで しとり えぐも』は瀕死の妹が発話したのか、賢治の心の声なのか。なぜローマ字なのか。答えはいまだに不明で考え続けている」(54歳女性・パート)

■井伏鱒二『山椒魚』
「本来は気持ちの見えない生物を物悲しい道化として描いた描写力に感銘を受けた」(30歳女性・フリーライター)

■『平家物語 敦盛の最期』
「繰り返し暗唱して、現代文にはない古文の表現の面白さやリズム感が気に入っていた」(28歳女性・フリーランス)

■『源氏物語 桐壺』
「初めの一文を覚えたが、最近間違っていたことに気がついた」(74歳男性・元大学教員)

11位以降の作品
■大岡信『言葉の力』
「中学生だった自分に強烈なインパクトを残した。桜を見るたび樹皮で染色された染め物のことを考える」(45歳女性・教育関係)

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