「桜を見る会」の問題で、安倍政権に対する世論の風向きが変わっている。早期解散をにらみ対抗軸になろうと合流を目指す野党だが、「一枚岩」になれるか。立憲民主党と国民民主党の合流協議入りなど、野党が活発に動き始めた。
* * *
「結果を謙虚に受け止め、国民の声に耳を傾けながら、一つ一つ丁寧に対応していきたい」
各社の世論調査で軒並み安倍内閣の支持率が下落したことを受け、菅義偉官房長官は記者会見でこうコメントした。しかし、その要因となった「桜を見る会」についてこれまでの対応を反省し、「丁寧な対応」をする様子はない。
12月にあったNHK、時事通信、TBS、読売新聞・日本テレビ、共同通信、テレビ朝日、産経新聞・フジテレビの世論調査ではいずれも支持が下落、不支持が上昇した。国会での説明を求める野党の再三の要請にもかかわらず、早々と国会を閉じ、逃げ切りを図ろうとした安倍政権に対する国民の不信感が高まっている。
共同通信の調査では安倍首相や政府が「十分に説明しているとは思わない」が83.5%。政権寄りの論調が目立つ産経新聞でさえ「招待者の取りまとめに関与していない」との首相の説明に「納得できない」が74.9%だった。
ある自民党関係者は、この傾向が、安倍政権にとってはすねの傷である「あの問題」を思い起こさせると警戒する。
「モリカケ問題と同じ構造です。追い込まれた揚げ句、国会を閉じて逃げ切りを図ろうとしたけれども、新たな疑惑が次から次に明らかになる。あの時も問われたのは首相の説明責任でした。1度目ならともかく、同じ政権で2度目ですから。内閣を支える官僚の答弁も誰が見ても破綻していますよ」
また、連立を組む公明党関係者からは、これ以上、かばいきれないという本音も漏れ聞こえ始めた。
「納得のいく説明を『していない』のではなく、『できない』ところが苦しい。いずれも、問題がないというのであれば、資料を堂々と提示して早々と問題を終息させればいい。それができないという態度が、半ば、いずれの疑惑もクロではないかと国民に思わせてしまっている」