大人1人あたりに必要な1週間分の食料と飲料水の例。備蓄用品の賞味期限は一般の食品よりは長いが、定期的に確認して買い替える必要がある (c)朝日新聞社
大人1人あたりに必要な1週間分の食料と飲料水の例。備蓄用品の賞味期限は一般の食品よりは長いが、定期的に確認して買い替える必要がある (c)朝日新聞社
12月3日以降 関東北部で発生した震度3以上の地震(AERA 2019年12月23日号より)
12月3日以降 関東北部で発生した震度3以上の地震(AERA 2019年12月23日号より)

 文茨城県や栃木県などの関東北部で地震が頻発している。首都直下地震の予兆ではという声もあるが、その関連性については専門家の間でも意見が分かれているようだ。大地震を正確に予知することが難しい今、重要なのは地震を「来るもの」と思って備えをしておくこと。AERA 2019年12月23日号の記事を紹介する。

【図表】12月3日以降、関東北部で発生した震度3以上の地震

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 茨城県日立市の主婦は、今回続いた地震を受けて、家具の転倒防止器具をネットで注文した。一度そろえたきり放置していた防災備蓄も見直したという。

「引っ越してきた直後に缶詰や長期保存水を買い集めたまま忘れていた。今回、改めて見直す機会になりました」

 同じように考えた人も多く、一部のホームセンターでは耐震用品の売り切れが相次いだ。東海大学海洋研究所所長で同大教授の長尾年恭さんはこう指摘する。

「このように被害が出ない程度の地震が起こることで、社会的に防災意識が高まる面もある。防災対策を見直すきっかけにすべきです」

 今の科学技術では大地震を正確に予知することはできないし、仮にできたとしても地震そのものをなくせるわけではない。ならば、来るもの、と思って備えることが大切だ。

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川口穣

川口穣

ノンフィクションライター、AERA記者。著書『防災アプリ特務機関NERV 最強の災害情報インフラをつくったホワイトハッカーの10年』(平凡社)で第21回新潮ドキュメント賞候補。宮城県石巻市の災害公営住宅向け無料情報紙「石巻復興きずな新聞」副編集長も務める。

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