●うつ伏せの成長段階

 赤ちゃんのうつ伏せの成長段階の目安です。

・新生児の赤ちゃんは、頭を持ち上げることができず、正面を向くことができません。顔を床にこすりつけながら左右どちらかに頭を動かすことができますが、頭を持ち上げて正面を向くことはまだできません。

・2カ月ごろになると、前腕で体を支え、顔を正面に上げられるようになってきます。まだ長い時間うつ伏せすることができません。

・3~4カ月になると首が座る赤ちゃんも多くなります。肘で体を支え、頭をしっかり上げることができるようになります。頭のふらつきも少なくなってきます。

・5~6カ月ごろになると、手のひら全体で身体を支え、おへそまで身体を上げることができ、かなり体を持ち上げることができるようになります。

●うつ伏せが苦手な子への4つの働きかけ

 うつ伏せが苦手な赤ちゃんは、腹筋や腕で自分の身体を支える力がまだ弱いことがあります。生活の中の遊びとしてできる、保育現場で行っている働きかけを紹介します。

・手や足で遊ぶ
 親が、仰向けの赤ちゃんのおしりを持ち上げます。そうすると赤ちゃんの手足が近くなるのでつかんで遊ぶようになります。手で足をつかんで自分の身体を持ちあげて遊ぶ、という経験をしながら腹筋も強くなっていきます。

・身体をひねる
 仰向けの赤ちゃんの腰をひねり、腕と足を交差させ、寝返りができる姿勢にして支えます。そして、「こうひねると寝返りができるんだよ」ということを伝えます。

・タオルをワキにはさむ
 くるくると巻いたバスタオルをうつ伏せの赤ちゃんの右脇の下から左脇の下にかけて通したら、赤ちゃんが自分の身体を支えやすい所に肘をおき、身体のバランスを取ります。ロール状のバスタオルを挟むだけで、うつ伏せが長時間できるようになります。

・親のおなかでうつ伏せ
 親は仰向けに寝転びます。親のおなかの上に赤ちゃんがうつ伏せで乗ります。大好きなお母さんお父さんにくっつきながらのうつ伏せ遊びは、赤ちゃん大好きです。実際、うちの保育所でも大人気の遊びです。

 うつ伏せが苦手な場合、どうしてもうつ伏せ遊びばかりに注目してしまいがちですが、同時に仰向けでの遊びも取り入れましょう。頭から骨盤までの体軸をまっすぐ保つために、仰向けで遊ぶ時は、赤ちゃんの正面に親の顔やおもちゃを見せてあげるといいでしょう。

 うつ伏せは、近い将来訪れるハイハイの基本になります。「嫌がるからしない」ではなく「少しずつでいいからチャレンジ」してみましょうね。(文/中田馨)

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中田馨

中田馨

なかた・かおり/1978年生まれ。兵庫県の認可保育園、中田家庭保育所施設長。一般社団法人離乳食インストラクター協会代表理事。保育士目線の離乳食講座受講生は4年で2000人。自身も中3男子、小5女子の子育て中。

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