姜尚中「令和の象徴天皇には血統原理ではなく多様性を重んじる姿を見せてほしい」

eyes 姜尚中

皇室

2019/11/06 07:00

 即位の礼が行われましたが、平成と令和の始まりを比べるとずいぶんと違う様相だったと思います。私は自著の『ナショナリズム』で平成の終わりと象徴天皇について書き、なぜ平成は画期的だったのかにも触れました。それは30年という歳月をかけ、名実ともに天皇陛下の人間宣言が具体的な形で国民に浸透したからだと考えています。被災地の慰問や「戦地巡礼」のような慰霊の旅など、常に国民に寄り添う象徴というイメージが広く国民の中に着床し、なおかつ自らの意思で退位するという「脱出」の自由(奥平康弘『「萬世一系」の研究』)を行使されたことなど、人間天皇の姿が国民の共感を得たのだと思います。象徴天皇は実際に自らが身体を動かして社会に内在し、絶えず国民の統合を作り出していく象徴作用によって担保されていることを示されたわけです。

あわせて読みたい

  • 「皇位継承」はどうなる? 国会議員へのアンケート、結果発表

    「皇位継承」はどうなる? 国会議員へのアンケート、結果発表

    週刊朝日

    10/24

    「令和皇室」と「女帝論」 御厨貴×石川健治が徹底討論

    「令和皇室」と「女帝論」 御厨貴×石川健治が徹底討論

    週刊朝日

    10/28

  • 「日本社会がジェンダー平等を追求するなら」 原武史さんが指摘する皇室のあり方と女性

    「日本社会がジェンダー平等を追求するなら」 原武史さんが指摘する皇室のあり方と女性

    AERA

    1/14

    上皇が天皇に課した高いハードル 「あの国」への訪問は実現するか

    上皇が天皇に課した高いハードル 「あの国」への訪問は実現するか

    AERA

    5/26

  • 「天皇制は存亡の危機」 憲法学者「皇族女性の婚姻に関わる一連の報道も不可解」

    「天皇制は存亡の危機」 憲法学者「皇族女性の婚姻に関わる一連の報道も不可解」

    週刊朝日

    1/2

別の視点で考える

特集をすべて見る

この人と一緒に考える

コラムをすべて見る

カテゴリから探す