日本代表は持ち点3の池崎、池、島川慎一(44)が主な得点源だが、障害の重い選手の動きも見逃せない。乗松聖矢(のりまつせいや=29)は1.5のローポインターだが、巧みな車いす操作と力強いタックルで相手の動きを封じ、時には自らトライを決めて勝利に貢献した。

 激しいぶつかり合いは、車いすラグビーの特徴でもあり、パラリンピックの競技で唯一、接触(タックル)が許されている。スピードに乗った車いす同士が勢いよくぶつかると、観客の腹に響くほどの衝撃音が会場中に響き渡る。そのたびに、「おおー」というどよめきが起きた。

 試合中、プシューと空気の抜ける音が聞こえることがあった。タイヤのパンクだ。上位チーム同士の対戦になると激しいぶつかり合いが増えるため、パンクは多くなる。その度に日本チームのメカニックを務める三山慧(けい=33)が替えのタイヤに付け替える。場合によっては、車いすが割れることもあるという。

「アルミやチタンなどの金属が割れてしまうわけですから、すごい衝撃ですよね。車いすラグビーには、他の競技にはない激しさがあると思います」(三山)

 日本は初戦のブラジル戦、2日目のフランス戦に勝利し、準決勝進出を決めた。3日目のイギリス戦にも勝利したが、4日目、準決勝でオーストラリアに敗れ、3位決定戦で再びイギリスと対戦し勝利、銅メダルを獲得した。

 チーム最年少の橋本勝也(17)はオーストラリアに敗戦後、涙を流してこう語った。

「目指していた優勝ができなかったこと、(イギリス戦以降)試合に出られず、チームに貢献できなかったことが悔しい。東京では今よりさらに進化した自分を見せたいと思っているので、日々の練習に励んでいきたい」

 橋本は初戦のブラジル戦に出場、チーム最多の18得点をあげた。競技を始めてまだ4年、昨年の世界選手権には出場したものの、活躍の機会は限られていた。だが、「若手に経験を積ませたい」というオアー監督の期待に見事に応えた。

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